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WB2000乳酸菌

ここでは、乳酸菌WB2000に期待される効果や研究データ、開発ストーリー、同菌が配合されている商品などについて詳しく紹介しています。乳酸菌WB2000は、医薬部外品「強力わかもと」でも知られるわかもと製薬株式会社が発見した乳酸菌で、これまで福岡歯科大学やロート製薬なども研究を行っています。

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WB2000乳酸菌とは

wb2000乳酸菌は、医薬部外品の販売などで知られるわかもと製薬株式会社が発見・商品化した乳酸菌。すでにいくつかの作用が確認されている乳酸菌ですが、中でも注目を集めたのが、歯に対する作用でした。

乳酸菌というと腸や免疫力などに作用するというイメージがありますが、同菌は歯や目に対する作用でも注目されています。

以下、WB2000乳酸菌に期待されている主な作用をあげていきます。

虫歯予防

福岡歯科大学の研究グループは、ヒトを対象とした臨床試験において、WB2000乳酸菌が口腔環境を総合的に改善させる働きを持つことを発見。結果として虫歯予防の作用が期待できる、と結論付けています。

丈夫な歯の維持

わかもと製薬とロート製薬の共同研究チームは、ヒトを対象とした臨床試験において、WB2000乳酸菌が歯槽膜の再生促進作用を持つことを発見。加齢の影響による歯のぐらつきや、歯の脱落などを予防する効果を示唆したと報告しています。

ドライアイの予防・改善

わかもと製薬から依頼を受けた慶応大学医学部の坪田教授は、マウスを使用した実験において、WB2000乳酸菌が目に対して様々な改善作用を持つことを発見。特にドライアイの予防・改善作用に期待が寄せられています。

WB2000乳酸菌の作用に関する研究データ

WB2000乳酸菌に期待される作用について、これまでに公表された代表的な研究報告をご紹介します。

虫歯を予防に関する臨床試験

福岡歯科大学総合歯科学講座の研究グループは、被験者59名を対象に、WB2000乳酸菌による口腔内への影響について臨床試験を行いました。試験に使用されたのは、WB2000乳酸菌を配合した歯磨剤「アバンビーズ」。WB2000乳酸菌を発見したわかもと製薬株式会社が製造・販売している歯磨剤です。

臨床試験は、WB2000乳酸菌配合歯磨剤を使用した「実験群」30名、WB2000乳酸菌を配合していない歯磨剤を使用した「プラセボ群」29名に分けて行われています。

以下、同研究グループが日本歯科保存学雑誌で報告した研究成果をご紹介します。

・実験群で4週後に統計学的に有意な唾液量の増加が認められた(唾液量増加を示唆)

・う蝕原因菌については、S.sobrinusの割合は実験群で4週後に有意に減少し、反痰にプラセボ群では有意に増加した(虫歯予防効果を示唆)

・「歯のツルツル感」の項目で、実験群では31.3%が「向上した」と回答し、プレセ簿群の12.5%に比較して高く(プラーク抑制効果を示唆)

結論

E.faecittm WB2000株配合歯磨剤の利用によって唾液量の増加、唾液緩衝能の改善、、プラーク付着量の減少、唾液中のS.sobrinusの割合の減少がみられ、E.faecittm WB2000株によってう蝕になりにくい口腔内環境が誘導される可能性が示唆された。

引用元:福岡歯科大学総合歯科学講座総合歯科学分野「乳酸菌配合歯磨剤(アバンビーズ)の口腔衛生改善効果についての臨床研究」(日歯保存誌 55(3):219~226, 2012)[pdf]

福岡歯科大学の研究グループは、ヒトを対象とした臨床試験において、WB2000乳酸菌が口腔環境に対し総合的な改善作用をもたらす、との見解を発表。総合的な改善作用を通じ、結果として、う蝕(虫歯)の予防効果が期待できると結論付けています。

丈夫な歯の維持に関する研究成果

わかもと製薬株式会社とロート製薬株式会社は、WB2000乳酸菌が持つ歯への影響について共同研究を行いました。以下、両社が共同で発表したプレスリリースの内容をご紹介します。

2. 研究の成果

① 乳酸菌 WB2000 株が歯根膜線維芽細胞の成長因子の遺伝子発現を促進することを発見

(中略)

② 乳酸菌 WB2000 株が歯根膜線維芽細胞の結合組織を分解する酵素の遺伝子発現を調節することを発見

(中略)

③ 乳酸菌 WB2000 株が歯周組織の維持・再生に関わるタンパク質の産生を促進することを発見

(中略)

3.考察

本研究により、乳酸菌 WB2000 株が歯根膜線維芽細胞の成長因子産生を促進したり、組織の分解を抑制する様に体内酵素を調節することを発見しました。これらの結果より、乳酸菌 WB2000 株は歯根膜および歯周組織の維持・再生をサポートするのに有用であると考えています。

引用元:わかもと製薬株式会社公式HPプレスリリース「乳酸菌 WB2000 株が歯ぐき細胞(歯根膜線維芽細胞)の成長因子産生を促進」[pdf]

研究資料の中で用いられている、下記の歯科専門用語の意味は下記の通りです。

※歯槽膜(しそうまく):

歯槽膜とは、歯根と歯槽骨(歯を支えている骨)との間にある膜状の組織のこと。歯根と歯槽骨とを強く連結する働きがあります。

重度の歯周病になると歯槽膜が炎症を起こし、歯根と歯槽骨との連結力が低下。歯がぐらついたり、抜けたりする要因となります。

※成長因子(せいちょういんし)

成長因子とは、細胞の増殖などに関わるタンパク質の総称。体のあらゆる組織の維持や再生に欠かせない物質です。

成長因子は、加齢とともに、その生産量が減少します。歯科分野においても、年齢を重ねるほどに歯根膜細胞の成長因子が減少していくことが知られています。歯根膜細胞の成長因子が減少すれば、やがて歯根と歯槽骨との連結力が低下し、歯が抜けるなどの症状に至ることがあります。

この研究成果を端的にまとめると、WB2000乳酸菌には、丈夫な歯を維持する作用があるということ。予防歯科の分野において注目されている研究成果です。

ドライアイの症状緩和に関する眼科実験

わかもと製薬株式会社から、乳酸菌による眼科での応用研究を打診された坪田氏(慶応義塾大学医学部教授)。このテーマに関心を抱いた坪田氏は、わかもと製薬株式会社が持つWB2000乳酸菌を使用し、マウスを対象にした眼科実験を行いました。

慶応義塾大学で開発したマウスストレスモデルで試験をした。これは拘束送風によるストレスでマウスの涙液量が減少する。つまり目が乾燥するモデルなのだが、この乳酸菌をマウスに飲ませることで涙液の減少を抑制することがわかった。また、涙腺の抗酸化と炎症指標を調べてみたところ、活性酸素を除去する酵素であるカタラーゼは増加し、活性酸素自体は大きく低下。炎症指標であるIL-6も大きく低下していた。しかも、乳酸菌は何でもよいわけではなく、このWB2000株だけが大きな効果をもっていたのだ!

引用元:株式会社メディカルレビュー社「マイクロバイオームサプリ」[pdf]

この研究データは、WB2000乳酸菌には、ドライアイの軽減作用があることを示唆。加えて、目における抗酸化作用や炎症抑制作用の可能性も確認されました。

WB2000乳酸菌の開発の歴史

WB2000乳酸菌は、わかもと製薬の看板商品でもある「強力わかもと」の進化プロセスの中で発見された乳酸菌です。「強力わかもと」の誕生から現在にいたるまでを振り返りつつ、WB2000乳酸菌の開発の歴史を見てみましょう。

初代「若素」には乳酸菌が配合されていなかった

「強力わかもと」の原点は昭和初期、1929年に販売された「若素」にさかのぼります。

当時は、日本国民の栄養状態がとても悪かった時代。ビタミンB1不足による脚気、栄養不足による小児の死亡率などが社会問題化していた時代でした。

そのような中、わかもと製薬は、国民の栄養向上を目的に、ビール酵母単一製剤の「若素」を販売。その2年後には、よりお客さんに親しみを持ってもらいたいと、製剤名を「わかもと」とひらがな表記としました。

当時、すでにビール酵母の効果は世界中に知られていたところ。一方で、乳酸菌は現在ほど注目されておらず、「若素」にも「わかもと」にも乳酸菌は配合されていませんでした。

「強力わかもと」への進化

1982年、「わかもと」は、配合成分にビタミン、ミネラル、アミノ酸、麹菌などを加えた「強力わかもと」に進化。進化の背景には、日本人の食の欧米化がありました。

すでに鎖国を終えて80年以上経っていた昭和初期、日本の食習慣は、欧米と同様の高たんぱく・高脂肪・低食物繊維食へシフトしていた時代でした。日本人の食習慣の変化に合わせ、わかもと製薬株式会社は、配合成分を調整した「強力わかもと」を開発したといわれています。

なお、この時点ではまだ、「強力わかもと」に乳酸菌wb2000は配合されていません。

麹菌の培養技術を生かして乳酸菌を配合

1955年、わかもと製薬株式会社は、麹菌の個体培養技術を応用し乳酸菌を培養。その粉末の製造に成功し、これを「強力わかもと」へと配合しました。1962年には、インスタント食や偏食による国民の栄養不足を補う目的で、各種の栄養成分とともに、配合乳酸菌の種類を増やして成分内容を強化。これら一連の過程で、複数の配合乳酸菌の一つとしてWB2000乳酸菌が配合されたようです。

日本人の食習慣の変化に応じ、その内容を進化させ続けている「強力わかもと」。今後も食習慣が変化し続けていく限り、「強力わかもと」もまた、進化を続けていくのかもしれません。

WB2000乳酸菌を配合した商品

EB2000乳酸菌を配合した商品は、わかもと製薬を中心に、いくつかのメーカーから販売されています。代表的な3つの商品を見てみましょう。

アバンビーズ

生きた乳酸菌wb2000を配合した薬用歯磨剤。乳酸菌wb2000のほかにも、フッ素などの歯に良いとされる薬用成分を配合しています。レギュラーミント味とストロングミント味の2種類を展開。

  • 参考価格:1,000円
  • 内容量:80g
  • 販売元:わかもと製薬株式会社

強力わかもと

1929年販売の「若素」に改良を加え、1962年から「強力わかもと」として生まれ変わったロングセラー整腸剤。整腸作用だけではなく、消化を助ける作用や栄養補給など、複数の効果を目指す医薬部外品です。

  • 参考価格:2,500円
  • 内容量:1,000錠
  • 販売元:わかもと製薬株式会社

Flora21

WB2000を始め、WB2001、EC-12など複数の乳酸菌を配合した粉末状のサプリメント。1包あたり8140億個もの有用腸内細菌を配合しています。乳酸菌のほかにも、酵母や亜鉛、鉄などを配合。

  • 参考価格:13,760円
  • 内容量:1g×60包
  • 販売元:有限会社日本環境グリーン

自分とWB2000乳酸菌との相性は?

どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。

もちろん、ここで紹介したWB2000乳酸菌についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。

世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。

しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。

他にはどんな乳酸菌があるの?
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手っ取り早く乳酸菌の効果を実感したい人には

ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。

そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。

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参照元

  1. わかもと製薬「アバンビーズ ブランドサイト」:https://www.wakamoto-pharm.co.jp/avantbise/wb2000/
  2. ネットショップわかもと「薬用歯みがき アバンビーズ®」:https://wakamoto-shopping.jp/item02.html
  3. 鈴木信之「協力わかもと」[pdf]:https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikahozon/55/3/55_KJ00008127695/_pdf/-char/ja
  4. ロート製薬株式会社・わかもと製薬株式会社「乳酸菌WB2000株が歯ぐき細胞(歯根膜線維芽細胞)の成長因子産生を促進 歯根膜や歯周組織の再生に寄与」[pdf]:https://www.wakamoto-pharm.co.jp/upd/pdf/0000000731_1.pdf

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管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

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