シールド乳酸菌は、免疫力を高めることを目的として、森永乳業によって開発された乳酸菌です。
シールド乳酸菌とは、森永乳業が保有している数千株のなかから、「免疫力を高める」をキーワードにして選ばれた乳酸菌(加熱殺菌菌体)のことです。シールド乳酸菌の名前の由来は、そのまま「盾（シールド）」から。盾のように、外部からの敵を防御することをイメージして、森永乳業が名づけた名前です。正式名称は、「シールド乳酸菌M-1」といいます。
「シールド乳酸菌®」とは、シールド（盾）のように外敵から人の体を守る働きを持つことから名付けられた乳酸菌です。腸の壁の内側にいる免疫細胞に刺激を与えて、免疫細胞を活性化する働きを持っています。
人の免疫システムは、免疫細胞（白血球やリンパ球）が、体内に侵入してきたウイルスや病原菌、日々体内で発生しているがん細胞など、からだに有害な存在を発見し、排除することで機能しています。この免疫細胞のうち、およそ60％が外敵に接することの多い腸のなかに存在しています。「シールド乳酸菌®」は、腸から免疫細胞に働きかけて免疫力を高めるのです。
乳酸菌の中でも選ばれた種類を使用し、体の免疫力アップをサポートをしてくれます。このシールド乳酸菌は、飲料以外にもタブレットやチョコなどの食べやすい菓子のほか、お味噌汁やお惣菜などにも使えることで話題になりました。
"たべるマスク”という商品名でも話題になったシールド乳酸菌ですが、私たちの体に対してはどのような効果があるのでしょうか。ここでは、シールド乳酸菌の効果について、森永乳業が発表している研究成果を紹介します。
シールド乳酸菌がいかに免疫を強くしてくれるかの研究がおこなわれています。シールド乳酸菌を含む様々な種類の乳酸菌を免疫細胞と接触させて、免疫の活性化に重要な「IL-12」というたんぱく質の産生について調べました。すると、シールド乳酸菌が他の乳酸菌に比べて、より高い免疫細胞の活性効果があることがわかりました。
インフルエンザウイルスを感染させたマウスに、シールド乳酸菌を与えて症状経過を観察する研究がおこなわれました。その結果、何も投与していないマウスよりも、シールド乳酸菌を与えたマウスの方が、インフルエンザによる症状が軽くなるということがわかりました。
単に体にいいというだけなら、他の乳酸菌でもいいはずですよね。そんな中、どうしてシールド乳酸菌がこれだけの注目を浴びているのでしょうか。シールド乳酸菌と他の乳酸菌についての違いをまとめました。
乳酸菌には動物由来のものや植物由来のものなど様々なものがありますが、シールド乳酸菌はヒト由来の乳酸菌です。人間の体内にもともと存在する乳酸菌の一種なので、ヒトの体に馴染みやすく、ヒトが本来持っている抵抗力を高めるサポートができるというメリットがあります。
テレビCMなどで、「生きたまま腸まで届く乳酸菌」というような言葉を耳にすることがありますよね。そういったイメージから、「生きている乳酸菌のほうが体にいい」という印象を持っている方も多いと思います。しかし、シールド乳酸菌は、「殺菌済の菌」です。「加熱殺菌菌体」や「死菌」などとも呼ばれます。"死菌"などと聞くと何だか効果がないような印象も持ってしまうのですが、それは大きな間違いです。
生きた微生物（細菌や酵母など）を取り入れて健康に役立てることや、それができる食品自体などを、総称して「プロバイオティクス」と呼びます。プロバイオティクスは、腸内のバランスを改善することにより、体の健康を保つ目的で取り入れられます。ただし、体外から摂取した生きた菌は、腸内で発育したり定着したりすることは困難なため、毎日ある程度の量を続けて摂る必要が出てきます。
いっぽう、加熱殺菌済みで使われる菌は、「バイオジェニックス」とも呼ばれます。殺菌済みの菌は腸内と言うよりも、体全体に直接多様な作用を働かせるという特徴があります。とくに、シールド乳酸菌M-1には、免疫細胞を活性化させたり、腸管での感染を防御したりする働きがあるため、結果的に体もお腹も健康になるというメリットがあるのです。
もっと簡単に説明すると、体に取り入れる菌は「生きているからいい、死んでいるからいい」というのではなく、「生きたまま取り入れたほうがいい菌と、殺菌していても体にいい効果がある菌がある」ということになります。シールド乳酸菌は加熱殺菌菌体ですが、それゆえのメリットがたくさんあるのです。
加熱殺菌済みのシールド乳酸菌だからこそ、現代人にフィットするメリットがたくさんあります。ここで、加熱殺菌菌体であるシールド乳酸菌だから得ることのできる利点をチェックしてみましょう。
生きたままの菌を使っている商品では、できるだけたくさんの生菌を腸内に届かせる必要があるため、胃酸が薄まっている食後のタイミングで摂取することが推奨されています。しかし、シールド乳酸菌は菌の生死が重要ではないため、いつ摂取してもとくに問題がないというメリットがあります。また、生きた乳酸菌では時間が経つとどんどん菌が死んでしまいますが、死菌の場合賞味期限や消費期限なども比較的長く保つことができます。
「少ない量でも効果を得ることができる」という点も、シールド乳酸菌の大きなメリットです。生きた乳酸菌を使用した商品では、一回量に300～400億個の乳酸菌を使用しているものもありますが、シールド乳酸菌は約100億個で効果を発揮するとされています。
使用する乳酸菌が多ければ多いほど、やはり味としては「酸っぱい」ものになってしまいます。乳酸菌食品のさわやかな甘酸っぱさのもとになる部分ではあるのですが、あまり酸味が強いものは好みに合わないという人も多いもの。その点、シールド乳酸菌は必要とされる量が少ないため、添加する食品の味に影響しにくいというメリットがあります。チョコレートやコーヒーなどの風味が大切な食品にも、味への影響を気にすることなく加えることが可能です。
シールド乳酸菌は加熱殺菌済みのため、再加熱しても効果に影響がありません。そのため、お味噌汁やお惣菜など、温かい食べ物に使用することも可能です。上述したように味への影響も少ないですし、加熱だけではなく水分に強いという特徴もあります。そういった死菌ならではの強みは、幅広い食べ物に活用できるというメリットがあるのです。
味への影響も気にする必要がなく、また少量でも効果を発揮するシールド乳酸菌は、他の乳酸菌やビフィズス菌などの食品と併用して摂ることもおすすめです。体にいい効果をもたらす食品は、乳酸菌食品などを代表にたくさんあります。しかし、いくら乳酸菌を摂りたいと言っても、例えば一日に何種類ものヨーグルトを食べることは大変ですよね。
シールド乳酸菌の場合、「他の乳酸菌は飲料やヨーグルト、シールド乳酸菌はチョコレートやお惣菜」、など、併用して必要量が摂りやすい食べ方も簡単にできます。他の健康食品と一緒に摂れるということも、シールド乳酸菌のポイントです。
シールド乳酸菌が配合されているのは、主に森永乳業や森永製菓の製品です。乳酸菌商品でメインとなることの多い乳酸菌飲料だけではなく、ココアやコーヒーなどの飲料や、チョコレートやタブレット菓子など、ユニークな商品も展開されています。ここでは、そのなかでも人気の商品や、特徴的な商品を紹介します。
赤いパッケージが印象的な、シールド乳酸菌を食べて摂ることができるタブレットです。「たべるマスク」という愛称でも知られていますね。味は食べやすいヨーグルト風味で、ビタミンCと発砲成分を配合しているため、気分転換にも最適なさわやかな味わいが楽しめます。3粒で100億個のシールド乳酸菌が配合されていて、毎日の手軽な習慣にぴったり。個包装なので、持ち運びにも便利です。
タブレットと同じ、食べるシールド乳酸菌シリーズの商品です。森永のチョコレートシリーズには他にも青いパッケージの「食べるビフィズス菌チョコレート」があり、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。こちらは、一袋にシールド乳酸菌が100億個含まれています。味は、しっかりと甘さを感じられるキレのいいマイルドカカオ。ちょっとしたおやつを食べる感覚でシールド乳酸菌を取り入れることができます。
加熱してもOKなシールド乳酸菌は、もちろん焼き菓子などの生地に混ぜ込んで焼いても大丈夫。日本製粉の「乳酸菌入りホットケーキミックス」には、ホットケーキ2枚分で1日推奨量である100億個のシールド乳酸菌が配合されています。やさしい甘さで、ふわっとした口どけが特徴。もちろんホットケーキだけではなく、マフィンやパウンドケーキやドーナツなど、一般的なホットケーキミックスで作ることができる焼き菓子アレンジも可能です。
シールド乳酸菌は、毎日の食卓に欠かせない「お味噌汁」に加えてもOK。加熱可の殺菌菌体は、温かい食品でも体にいい効果を発揮します。1杯にシールド乳酸菌100億個が含まれているので、朝・昼・夜のお味噌汁をこれにするだけで、1日推奨量を美味しく摂取することができます。かつおと昆布のおだしの風味が効いた、毎日飲んでも飽きのこない味わいです。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか？