種類やはたらきが丸わかり! 家族のための乳酸菌大辞典

種類やはたらきが丸わかり!家族のための乳酸菌大辞典 » SBT2928株

SBT2928株

SBT2928株は、雪印メグミルク株式会社によって腸内ビフィズス菌の中から発見された人由来の菌株のこと。

別名ビフィズス菌SP株とも呼ばれています。SP株の「SP」は、スノー・プロバイオティクスのイニシャルであり、雪印が見つけたプロバイオティクスという意味です。

腸内環境を整えてくれるビフィズス菌

SBT2928株は善玉菌の一種。大腸に定着して腸内環境を整える効果があります。人の腸内に生きたまま届いて定着しやすいことが科学的に証明されています。

SBT2928株が含有されているヨーグルトは、腸内環境の改善に役立つ特定保健用食品として販売されています。

エビデンスがある!
SBT2928株の効果

免疫機能の向上効果

免疫機能に対するSBT2928株とSBT2055株の影響の研究

SBT2928株とSBT2055の免疫調節機能を調べるため、健康な32歳から76歳までの224名を対象に二重盲検臨床試験を実施しました。SBT2928株とSBT2055株を含む発酵乳摂取群と、乳酸菌を含まない摂取グループ(プラセボ群)に分けて、1日100gずつ12週間摂取してもらいます。

結果
免疫機能が活性した

SBT2928株とSBT2055株を摂取したグループは、含んでいないグループよりも免疫が活性化したことを示すNK細胞活性の数値が高くなっていることが分かりました。この試験結果から、ビフィズス菌SP株とガセリ菌SP株を含む発酵乳は、含まない発酵乳に比べて、免疫機能が活性化されることが明らかに。この結果から、ビフィズス菌SP株はNK 細胞を活性化する作用を持っていることが判明しました。

二重盲検臨床試験:被検者を2つのグループに分けて、一方のグループには試験薬、他方のグループには味や香りが同じだが薬効と無関係なプラシボ (偽薬) を与えて、結果を判定する試験のことです。[注1]

  • NK細胞:ナチュラルキラー細胞と呼ばれる免疫細胞のこと。がん細胞を破壊してくれます。
  • ガセリ菌SP株:ビフィズス菌SP株と同じく、雪印メグミルク株式会社によって発見された乳酸菌の一種です。主に小腸に生息しています。

ストレスの軽減効果

ストレスに対するSBT2928株とSBT2055株の影響の研究

NK 細胞の活性化を調べた試験と一緒に、ストレスの軽減効果についても調べられました。そのため、試験の方法や期間、被験者数などは免疫調節機能を調べたときと同一です。

結果

ストレスホルモンである副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の血中濃度を調べてみると、ビフィズス菌SP株+ガセリ菌SP株を摂取したグループは、プラセボを摂取したグループに比べて明らかに低い値が示されました。また、プラセボを摂取したグループに比べてストレスの指標である血中のコルチゾール増加を抑制する傾向も見られます。以上を踏まえて、ビフィズス菌SP株はストレスを軽減できることが分かりました。[注2]

  • 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH):脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンのひとつ。副腎皮質を刺激して、コルチゾールの生成を促します。
  • コルチゾール:過度なストレスを受けると分泌量が増加するホルモン。うつ病の患者は、コルチゾールの値が高いことが分かっています。
  • SBT2055:ガセリ菌 SP 株の別名です。内臓脂肪を減少させる報告があります。

便通の改善効果

便通に対するSBT2928株とSBT2055株の影響の研究

ヒト由来のSBT2928株とSBT2055 株を加えて調製した発酵乳の摂取による便 通の改善や糞便内細菌叢への影響について
平 均 年齢41.2歳の健康な49名(男11名、女38名)に、ビフィズス菌SP株とガセリ菌SP株を混ぜた発酵乳を、1日100gずつ15日間摂取してもらいました。この うち、便内ビフィズス菌の占有率が低く、排便回数が週5回以下の人から任意に選んだ9名(男2名、女7名)については、糞便内細菌叢解析を行っています。

結果
排便回数、便の質が向上した

排便回数は、ビフィズス菌SP株とガセリ菌SP株を混ぜた発酵乳の摂取によって明らかに増加し、摂取を休止すると減少しました。排便量や便の形状・色・ニオイでも改善が認められています。
また、被験者49名のうち9名で行った便内細菌叢解析では、便内総細菌に対するビフィズス菌SP株の占有率が6.2%から14.5%に増加しました。この結果から、ビフィズス菌SP株とガセリ菌SP株を混ぜた発酵乳が、プロバイオティクス発酵乳として便通の改善に働きかけてくれることが示されています。[注2]

  • 便内細菌叢:便の中に生息している細菌の群れのことです。分析することで、ビフィズス菌SP株とガセリ菌SP株を混ぜた発酵乳の整腸作用を客観的に評価することができます。

SBT2928株は、ガセリ菌SP株と一緒に摂ることで効果を発揮する

これまでの研究の内容を見てみると、NK 細胞の活性化やストレスの軽減、便通の改善効果は、SBT2928株独自の働きによるものとは言えません。ストレスの低減や便通の改善を目的に摂取するなら、SBT2928株だけでなく、ガセリ菌SP株も一緒に摂取するといいでしょう。

ガセリ菌SP株は小腸に生息しているので、大腸に生息するSBT2928株との相乗効果が期待できます。さらに、内臓脂肪を低減して蓄積を抑制してくれるという独自の効果を持っているのです。

SBT2928株とガセリ菌SP株を発見した雪印メグミルク株式会社では、2つの菌をバランスよく配合したヨーグルトが販売されています。

参照元

  1. (PDF)乳酸菌に寄る「内臓脂肪蓄積抑制」効果と「免疫調節」効果(http://www.nyusankin.or.jp/scientific/pdf/Nyusankin_486_a.pdf), (参照 2018-08-01).
  2. (PDF)Lactobacillus gasseri SBT2055 (ガセリ菌SP株)およびBifidobacterium longum SBT2928 (ビフィズス菌SP株)
    を含むヨーグルト摂取によるヒトにおけるNK活性増強とストレス軽減効果 (http://www.meg-snow.com/news/2012/pdf/20121018-488.pdf), (参照 2018-08-01).

乳酸菌の選び方

自分に一番合った乳酸菌はどれ?乳酸菌の選び方を伝授します!

有害菌をブロック&自分の乳酸菌を育む乳酸菌生成エキスとは

管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?