日本を代表する大手飲料会社の一つ、サッポロビール株式会社が開発したSBL88乳酸菌。ビールの品質管理に使われていた約700種類の乳酸菌の中で、同社がかねてより注目していた乳酸菌でした。
一般的に乳酸菌には便秘解消効果があるとされていますが、SBL88乳酸菌は、便秘解消効果のほかにも、肝機能の改善やアレルギー症状の緩和、美肌作用など、さまざまな働きを持つことが確認されています。健康と美容のために、ぜひ日ごろの食生活の中に取り入れてみたい乳酸菌です。
SBL88乳酸菌とは、サッポロビール株式会社が、ビールの品質管理のために保管していた約700種類の乳酸菌の中から発見された乳酸菌です。他のさまざまな乳酸菌に比べ、酸やアルコールへの耐性が高いことが特徴。乾燥させても低栄養の環境に置いても、SBL88乳酸菌は力強く生き続けることができます。由来する原料は大麦で、いわゆる植物性乳酸菌の一種となります。
SBL88乳酸菌が持つ作用については、2005年以来、数々の研究において実証されてきました。確認された主な作用には、便秘解消や肝機能向上、各種アレルギー症状の抑制、ストレス性睡眠障害の改善、肌の保湿力向上など様々なものがあります。
マウスを使った試験のみならず、ヒトを使った大規模な臨床試験も行われていることから、これらデータの信憑性は非常に高いと言えそうです。
SBL88乳酸菌の効果に関する試験は、すでに数多く実施済み。それら報告データの中から、ここでは「腸内バランスを整える作用」「肝機能のバランスを整える作用」「免疫バランスを整える作用」「睡眠障害を改善させる作用」「肌の保湿力を向上させる作用」についてご紹介します。
なお、以下でご紹介するデータ等については、開発元となったサッポロホビール株式会社の公式サイトから引用しています。
平成22年度の厚生労働省の調査によると、日本の男性全体の2.5%、女性全体の5%が便秘を自覚しているとのこと。便秘解消の効果が期待できる食品としてはヨーグルトが知られていますが、植物性乳酸菌の便秘解消効果については、あまり多くの報告が得られていません。
そこでサッポロビール株式会社は、植物由来の乳酸菌であるSBL88における便秘解消効果について試験を実施。試験の結果、同乳酸菌が持つ便秘解消効果が示唆されました。
1.ヒト試験の概要
排便回数が2週間で10回以下の方32名を2つのグループに分け、「二重盲検並行群間試験法」によりSBL88乳酸菌の効果確認試験を行いました。1つのグループ(16名)は、400億個のSBL88乳酸菌を含んだカプセルを1日1回摂取し、もう一方のグループ(16名)はプラセボを摂取しました。
2.便秘の改善
SBL88乳酸菌を摂取したグループは、摂取前と比較し有意に排便回数が増加しました。一方、プラセボ群では排便回数の有意な増加は認められませんでした。また、善玉細菌と言われている、ビフィズス菌の割合もSBL88乳酸菌を摂取したグループは、プラセボ群に比べ、有意に高い占有率を示しました。(図1)
サッポロビールでは、SBL88乳酸菌が持つ便秘解消のメカニズムの一つとして、同乳酸菌にビフィズス菌増殖活性が認められたこと報告しています。
健康診断の結果で注目される数値のひとつにγ-GTPがあります。飲酒量の多い人はγ-GTPの数値が高くなる傾向があり、数値が著しく高い場合で、かつアルコールが原因と推定される人には、医師から節酒を指導されることがあります。
サッポロビール株式会社が行ったヒト対象の試験では、SBL88乳酸菌によってγ-GTPの数値の低下が確認されました。それに加えて、生活習慣病の大きな原因となる中性脂肪の低下も報告されています。
飲酒が習慣化している成人の男女を、SBL88乳酸菌を1日1回摂取しながら毎日飲酒(ビール中瓶2本程度)するグループと、SBL88乳酸菌を摂取せずに同様の飲酒生活を送るグループに分けました。4週間後に、飲酒によって増加するγ-GTP*を測ったところ、SBL88乳酸菌を摂取したグループのγ-GTPの値が下がっていることがわかりました。
引用元:サッポロビール「4つのはたらき」
アルコール飲料を主力商品とするサッポロビールだけに、この試験の結果には説得力がありますね。
マウスを対象に行った試験において、SBL88乳酸菌に各種のアレルギー症状の緩和作用が確認されました。
SBL88乳酸菌を用い、花粉症、アトピー性炎症の改善効果について試験を実施したところ、アレルギー症状を有するマウス10匹のうち8匹のマウスにおいて、皮膚上の出血、浮腫、脱毛、乾燥、発疹などのアレルギー症状が軽減されました。
引用元:サッポロビール「4つのはたらき」
上記試験はマウスを対象としたものですが、マウスで作用が確認された試験については、ヒトでも同様の作用が確認されることが少なくありません。ヒトにおける各種アレルギー症状の緩和作用も期待されます。
ストレスなどを原因として発症する睡眠障害は、現代社会において大きな問題となっています。サッポロビールでは、マウス試験、およびヒト対象の臨床試験において、SBL88乳酸菌によってストレス性の睡眠障害が改善したというデータが得られています。
マウスでの実験から、SBL88乳酸菌の摂取が睡眠の質を向上させ、活動期における活動量の改善に効果を及ぼすのではないかと考えられました。
この結果に基づき、睡眠に問題をお感じの方にご応募いただき、ヒト試験を行った所、SBL88乳酸菌摂取期間には、プラセボ摂取期間に比べて、睡眠アンケートの「目覚め」の向上で有意差が認められ、抑うつ指標値が被験者の平均以下の(症状が軽い)方では熟眠度の有意な向上が認められました。
引用元:サッポロビール「4つのはたらき」
重度の睡眠障害を克服するには医療機関を受診する必要がありますが、軽度であれば、SBL88乳酸菌の摂取によって緩和される可能性がある、とサッポロビールは考えているそうです。
SBL88乳酸菌が持つ肌の保湿作用について、マウスを対象とした試験で効果の検証が行われました。
そこで今度は、同じ作用が人間にももたらされるかどうかについて、ヒトを対象とした大規模な試験を実施。その結果から、マウスと同様、人間に対しても肌の保湿効果を発揮することが確認されました。
<試験方法>
ヒトの肌への効果試験では、21~59歳の男女を対象に「SBL88乳酸菌」を高用量(50mg)、低用量(25mg)、プラセボ(有効成分を含まない錠剤=0mg)配合したカプセルを1日1回、12週間連続摂取させ、眼の下部、頸部、左前腕部の経皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚水分量を4週毎に測定しました。
<結果>
今回のヒト試験において、118名の被験者全員(乳酸菌食品摂取頻度は週3回未満)での比較では、8週目の頸部において、プラセボ群と比較して低用量摂取群で-15%(p=0.05)の経皮水分蒸散量の減少傾向(=皮膚バリア性の向上)が観察されました。皮膚水分量の計測値では、12週目の頸部において、プラセボ群(0mg)の11%に比較して、低用量摂取群で24%の向上が観察され、p=0.06の保湿増強傾向が認められました。
本試験における乳酸菌摂取量は比較的少ないことから、全被験者の中から乳酸菌含有食品摂取頻度が週1回以下の被験者39名を層別して解析した結果「SBL88乳酸菌」を摂取することで、皮膚水分量が12週目の、頸部においてプラセボ群と比較して高用量摂取群で(グラフ1)、眼の下部において低用量摂取群で、いずれも有意な(p<0.05)上昇が観察されました 。これらの結果から、乳酸菌摂取量の少ない方には「SBL88乳酸菌」の摂取が、肌の保湿の向上に寄与することがわかりました。
SBL88乳酸菌以外にも、肌の保湿作用を持つ乳酸菌は複数発見されています(61乳酸菌など)。この先、各種の乳酸菌はアンチエイジングのための救世主となるかも知れません。
SBL88乳酸菌のマメ知識として、サッポロビールに寄せられている「よくある質問」の内容をご紹介します。
A.「SBL88乳酸菌」の正式名称Lactobacillus brevis SBC8803の略称です。SBCとは「サッポロビールラクトバチルス属」の意味。88とは、微生物バンク番号である「8803」の最初の2ケタです。
A.SBL88乳酸菌はビールの製造工程で活躍する乳酸菌。酸やアルコールに強いところが、他の乳酸菌との大きな違いです。
A.SBL88乳酸菌は死菌(熱処理で殺菌した状態)でも、下痢の緩和や睡眠障害の改善に寄与することが確認されています。他の乳酸菌の中には、死菌になると作用が低下する種類もあります。
A.SBL88乳酸菌の中に蓄積されるポリリン酸の働きにより、消化管の炎症を抑えることが確認されています。また、SBL88乳酸菌が直接腸管に働きかけることでセロトニン分泌を促し、自律神経を経由して脳に働きかけていることが、各種の作用の根拠となっていることも確認されました。
A.漬物や味噌など、植物性原料に由来した乳酸菌のことを植物性乳酸菌と言います。一方で、チーズやミルクなど、動物性原料に由来した乳酸菌のことを動物性乳酸菌と言います。それぞれ特徴が異なり、どちらが良い、悪いとは一概に言えません。
SBL88乳酸菌入りの代表的な商品をご紹介します。
SBL88乳酸菌を配合した、なめらかな食感を特徴とするヨーグルト。酸味と甘みのバランスが絶妙で、毎日のデザートとして楽しんでいる方も多いそう。女性から大人気の商品で、第1回FOODEX美食女子グランプリで金賞を受賞した商品です。
大麦由来の植物性乳酸菌SBL88を配合したフルーツサプリ。契約農家から仕入れた大粒のプルーンを、国内の工場で丁寧に加工しています。果肉がふっくらしていて、柔らかい食感が特徴です。
黒糖、ユーグレナ、SBL88乳酸菌を配合した豆乳飲料。「新クリア製法」を採用した、スッキリとした飲みごたえが特徴。甘さ控えめなので、毎日の習慣にも適しています。
どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。
そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?