エンドウマメから単離されたロイコ菌M048株。さまざまな菌を保有する日東薬品工業株式会社が保有しているものです。このロイコ菌M048株は、ウイルスや病原体の侵入を阻止して感染症などを予防したり、免疫のバランスを整えることによってアレルギーの症状を緩和したりといった作用があると考えられており、サプリメントの形で商品化されています。
この記事では、ロイコ菌M048株が持つ特徴や関連する研究、どのように商品化されているのかをご紹介していきます。
ロイコ菌M048株とは、日東薬品工業株式会社が保有する乳酸菌で、エンドウマメから単離されたものです。このロイコ菌M048株が持つ特徴は、菌体の外に「ロイコサッカライド」と呼ばれるネバネバの多糖を大量に産生するということ。
ロイコ菌M048株を摂取した際の作用としては、IgA抗体の分泌を促進することでウイルスや病原体の侵入を阻止したり、免疫のバランスを整えてアレルギー症状を緩和させたりする効果があると考えられています。
ロイコ菌M048株が持つ作用として、まず挙げられるのが感染症を引き起こすウイルスや病原体の侵入を阻止する、という働き。これはロイコ菌M048株やロイコ菌M048株が産生するロイコサッカライドを摂取することによって、IgA抗体の分泌量が増えるため。特に腸に多く存在しているIgA抗体は、粘膜の表面で外敵の侵入を防いで感染症などへの感染を防ぐ役割を持っています。
ロイコ菌M048株を摂取することによりIgA抗体の分泌量が増え、結果としてウイルスや病原体の侵入を防ぐ力をアップさせることが期待されています。
もうひとつの作用として、アレルギー症状を緩和させるという作用も期待されています。これはロイコサッカライドを摂取することにより免疫のバランスを整えられるため。下記で自己免疫疾患の症状を緩和したという研究についてご紹介しています。
エンドウマメから発見されたロイコ菌M048株に関して、さまざまな研究が行われています。ここでは、乾癬の症状や感染症を予防するIgA量について、ロイコ菌M048株を摂取することでどのような作用が見られるのかといった研究についてご紹介しています。
ロイコ菌M048株が産生する菌体外多糖(ロイコサッカライド)が持つ作用として、自己免疫疾患である「乾癬(かんせん)」の症状を緩和するという報告がされています。
乾癬とは、免疫機能の異常がきっかけとなって引き起こされる皮膚疾患のことで、皮膚が腫れ上がった表面に「鱗屑」と呼ばれるものが厚く付着し、ボロボロ剥がれ落ちるという症状が見られます。ただ、この乾癬の詳細についてはまだわかっておらず、研究が進められている状態です。
そこで、日東薬品工業では、乾癬のような症状が起きているマウスに対し、ロイコ菌M048株が産生したロイイコサッカライドを塗布することで症状が緩和することを確認しています。
乾癬症状誘導剤(イミキモド)を塗布して乾癬の症状を引き起こしたマウスに、ロイコサッカライド(ロイコ菌EPS)を塗布すると、JCM6124株(基準株)のEPSを塗布するよりも有意に皮膚スコアの上昇が抑制され、乾癬に特有の発疹や鱗鱗屑の症状が抑えられたことが確認できました。
引用元:日東薬品工業「ロイコ菌M048株が産生する菌体外多糖(ロイコサッカライド)は 自己免疫疾患(乾癬)の症状を緩和する」(pdf)
粘膜(鼻や喉、腸管)に存在し、細菌などの侵入を阻止する役割を持つ「IgA抗体」。このIgA分泌量の増加が感染症予防に役立つと期待されています。日東薬品工業株式会社で行われた実験により、ロイコ菌M048株を服用するとIgAの分泌が促進されることがわかっています。
これはマウスを使用した実験データで、ロイコ菌M048株を含む餌を食べるグループと、ロイコ菌M048株を含まない餌を食べるグループに分け、14日間餌を自由摂取させたもの。その後、1週間単位で糞便に含まれるIgAの量を測定しました。
マウスの飼育期間中、陰性対照群では糞便中IgA量に変化がなかったのに対して、ロイコ菌M048株を含む餌を摂取させると糞便中のIgA量が増加することがわかりました。また同時にロイコ菌M048株と同種の基準株よりもその効果が高いこともわかりました。
また、上記のようにロイコ菌M048株そのものを摂取した場合に糞便中のIgA量が増加したものと同様、ロイコ菌M048株が産生したロイコサッカライドを摂取した場合にもIgA量が増加することが確認されています。
こちらもマウスを用いた実験ですが、ロイコサッカライドを含む餌を食べさせるグループと、ロイコサッカライドを含まない餌を食べさせるグループに分け、42日間自由に餌を食べさせました。その後1週間おきに糞便に含まれるIgA量を測定したものです。
マウスの飼育期間中、陰性対照群では糞便中IgA量に変化がなかったのに対して、ロイコサッカライドを含む餌を摂取させるとロイコ菌体同様に糞便中のIgA量が増加することがわかりました。
引用元:日東薬品工業「ロイコ菌M048株の産生する菌体外多糖(ロイコサッカライド)摂取により糞便中IgA量が有意に増加」(pdf)
どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。
もちろん、ここで紹介したロイコ菌M048株についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。
世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
ロイコ菌M048株が含まれる商品としては、日本予防医薬株式会社から2018年に発売されたサプリメント「鉄壁ラクトフェリン」があります。このサプリメントは「ロイコ菌M048株」のほか、「ラクトフェリン」や「ビフィズス菌ロンガム種」が配合されたもの。菌が持つパワーを最大限に発揮させるため、胃で溶けずに腸で溶けるカプセルを採用し、それぞれの成分を腸まで届けることが可能となっています。
3つの成分を含むサプリメントを摂取することにより「カラダを守るための力」を高め、感染症をはじめとするさまざまな体調不良に対抗できることが期待されています。
なお、この商品は日本で初めてロイコ菌M048株をサプリメントに配合したもの。飲みやすい形となっているため、手軽にロイコ菌M048株を摂取することができます。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?