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乳酸菌LS1

乳酸菌LS1(Lactobacillus salivarius TI2711<ラクトバシルス・サリバリウスTI2711>)とは、ヒトの唾液中に存在する乳酸桿菌の一種です。口腔内での活性が高く、赤ちゃんの唾液の中や妊婦の産道内でも発見されている、ヒト由来の乳酸菌です。

乳酸菌LS1の歴史

乳酸菌LS1を発見したのは、日本プロバイオティクス学会理事長であり東海大学医学部 医学博士の古賀泰裕教授です。古賀教授は、明治「LG21」などの有名なヨーグルト製品を研究・開発した人物でもあります。

食品として発売するために

乳酸菌LS1を発見したのは、日本プロバイオティクス学会理事長であり東海大学医学部 医学博士の古賀泰裕教授です。古賀教授は、明治「LG21」などの有名なヨーグルト製品を研究・開発した人物でもあります。

名前の由来

乳酸菌LS1の正式名称は「Lactobacillus salivarius TI2711<ラクトバシルス・サリバリウスTI2711>」といいます。"Lacto"は「乳酸」、"Bacillus"は「桿菌」、"Salivarius"は「唾液」という意味があり、名前通り口腔内(唾液内)に存在している乳酸桿菌です。

食品として発売するために

乳酸菌LS1は、その性質上、ヨーグルトや乳性飲料に配合することが困難だとされていました。そこで着目したのが、タブレット状にするというアイデア。この加工方法であれば、生菌の状態で乳酸菌LS1を配合できるのではないかと考えられたのです。湖池屋は当時フルーツミントタブレット菓子「ピンキー」を大ヒットさせた食品メーカーだったため、これに着目した古賀教授とともに共同開発が始まりました。そして2002年に「クリッシュ」という商品名で乳酸菌LS1を配合した商品が販売され始め、現在は「乳酸菌エル・エス・ワン」として発売されています。

乳酸菌LS1の効果や特徴

歯周病菌に対する効果

乳酸菌LS1には歯周病菌に対する殺菌効果があるということが確認されています。歯周病の原因菌3つに乳酸菌LS1を加えて培養したところ、24時間で3種類の菌がほぼ死滅するという結果が出ました。その様子を電子顕微鏡で観察したところ、乳酸菌LS1が歯周病菌よりも早いスピードで増殖して、歯周病菌を殺菌しているところが確認されています。

虫歯菌に対する効果

さらに、虫歯の原因菌に乳酸菌LS1を加えて特殊な培養液で培養したところ、虫歯菌への直接的な抑制効果は認められませんでしたが、虫歯菌が作る虫歯発症物質である「不溶性グルカン」の発生を抑制していることがわかりました。その様子を観察して、乳酸菌LS1が虫歯菌の周囲を取り囲むようにして、増殖を抑え込んでいるところが確認できています。

乳酸菌LS1の研究

乳酸菌LS1の歯周病菌や虫歯菌への効果が認められてからは、それがヒトの口腔内でも有効なのかどうかの研究が進められました。

ヒトの口腔内においての検証実験

実験は次のような方法でおこなわれました。

  • 57名に乳酸菌LS1を含むタブレットを1日5回、1回量5粒服用してもらう
  • 1日に乳酸菌LS1を1億個摂取してもらう
  • 服用前と、服用4週間後・服用8週間後に検査をおこなう

その結果、口腔内の菌の総数は変わりませんでしたが、歯周病菌数が減少していることが認められました。また、口臭が減少するという結果も出ています。これは歯周病の原因菌が減少することによって、口内環境が改善されたことに伴う結果だと考えられています。

さらに、虫歯の原因となる菌の数には変化が見られなかったものの、虫歯菌が分泌する不溶性グルカンの数は減少しており、乳酸菌LS1の抑制効果が認められました。不溶性グルカンが作られずにいると、虫歯菌が歯の表面に長時間付着するという悪い状態がなくなります。そのため、虫歯菌自体は減少させることができませんが、虫歯の発症を抑えられると予想することができます。

また、服用後に唾液のpH値を測定すると、服用前にやや酸性寄りだった人やアルカリ性寄りだった人は、中性に変化していました。口腔内が中性になっているのは、歯周病・虫歯予防の観点において良い状況だと考えられています。当初は乳酸菌LS1を摂取することにより口腔内が酸性化して、むしろ虫歯ができやすくなってしまうのではないだろうかという懸念がありましたが、それが払拭される結果となりました。

服用を中止すると効果は消失する

乳酸菌LS1の服用開始後に、歯肉の奥(歯周ポケット)内にあるプラーク中のL. salivarius菌数が上昇するということが確認されています。したがって、乳酸菌LS1は歯周ポケット内に移行して存在していることがわかりました。また、歯周ポケット内プラーク中の歯周病原因菌が減少したことから、乳酸菌LS1は歯周ポケット内で歯周病菌を抑制する働きがあることが示されています。しかし乳酸菌LS1の服用を中止したところ、被験者80%の割合でL. salivariusが消失しました。そのことから、乳酸菌LS1は継続して摂取することで効果を発揮すると言われています。

プロバイオティクスを使った新しい口腔ケア

乳酸菌LS1を用いた実験から、ヒトの口腔内環境を改善する効果が認められました。歯周病の原因菌と、虫歯菌が分泌する虫歯の原因物質に対しての攻撃・抑制効果があるため、習慣的に服用することによって歯周病と虫歯を防ぐ効果が期待できます。

私たちが自宅でおこなう口腔ケアは、歯ブラシや歯間ブラシなどを使ったブラッシングなどで歯垢を物理的に除去する方法が一般的です。また、薬用のうがい薬などで、口の中を清潔に保つことも有効だとされており、歯垢(プラーク)を範囲で普段から除去しておくことは、口腔内のセルフケアの基本です。

乳酸菌LS1は、普段私たちがおこなっているセルフケアにプラスすることで、より高い予防効果があると期待されています。歯周病や虫歯の原因菌の塊とも言えるプラークをセルフケアでしっかり除去し、乳酸菌LS1で菌の増殖や活動をおさえるという新習慣をつけることで、口腔内のトラブル予防療につながります。

乳酸菌LS1と口腔内フローラについて

口腔内フローラとは

私たち人間をはじめとする生き物の体内には、無数の菌が存在しています。腸内で菌たちがグループを形成している様子が"花畑(flora)"に見えることから「腸内フローラ」という言葉が生まれ、乳酸菌が腸内フローラにいい影響を与えるということが有名になりました。乳酸菌を生きている状態で体内に取り入れることは「お腹にいい」というイメージがありますが、他にも乳酸菌が活躍できる場所があります。そのの一つが、『口腔内フローラ』です。

口腔内フローラ(口内フローラ)とは、腸内フローラ同様、菌が形成しているグループの総称です。消化器官の入り口でもある口は、腸と同様に様々な菌が済んでおり、フローラを広く形成しています。腸内にいる細菌の種類は500〜1000種類といわれていますが、口腔内にも500種以上の細菌が住んでいて、その人独自のフローラを作っているのです。

腸内フローラの健康を保っておくことは、体全体の健康を支えることになるとして有名ですが、口腔内フローラにも同じことがあてはまります。カラダの入り口である口腔内フローラがバランスを崩し、歯周病などにかかってしまったら、それは体全体にも影響を及ぼしてしまうのです。

口腔内フローラと人間のカラダの関係

口腔内フローラの細菌バランスが崩れると、歯周病が引き起こされます。すると、歯肉などの血管を通して、細菌由来の病気の原因物質や、炎症によってつくられる物質(サイトカイン)が全身をめぐってしまいます。その結果、次のような症状の原因となることがあります。

歯周病によって起こる可能性のある疾患や状態

  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 早産
  • 低体重児出産
  • 骨粗鬆症

また、歯周病は肺炎とも関連性があります。肺炎とは、私たち日本人の死因において3番目に多い病気で、その患者の約9割を高齢者が占めています。高齢者の肺炎で特に多いのは、"誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)"です。

誤嚥性肺炎とは、食べ物や、唾液・胃液などと一緒に、細菌を誤って食道ではなく気道に吸引してしまうことによって発症する病気です。高齢者は嚥下機能(物を正しく飲みこんで食道に送る機能)が弱まっていることもあり、この誤嚥性肺炎を起こしやすくなっています。

また、寝たきりなど日常生活に支障がある高齢者の場合、口腔内の清潔が保ちにくいということもあります。そのような場合、口腔内にいる肺炎の原因菌が増えやすくなり、さらに食事などを誤嚥することによって誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなるのです。

歯周病は慢性的な疾患のため、歯科などで治療しない限りは治りません。体全体の健康を保つためにも、体の大切な入口である「口腔内フローラ」の環境を整えることが重要視されています。

乳酸菌LS1が口腔内フローラに与える効果

それでは、乳酸菌LS1は私たちの口腔内フローラに対しどのような影響を与えてくれるのでしょうか。乳酸菌LS1の研究機関では、口腔内フローラについて次のような見解を示しています。

歯周病や虫歯および口臭が、口腔内に存在する特定の細菌に起因するのであれば、予防や進行抑制のために、どんなアプローチが考えられるだろうか。体には本来、病原性細菌に対する抵抗力(生体防御力)が備わっている。つまりこの生体防御力が、病原性細菌の活動を上回っていればよいのである。そのためには、一方で生体防御力をより高めながら、もう一方でプラークを物理的に取り除いて原因菌を除去したり、原因菌の活動を抑えることが重要である。その一つの方法としてプロバイオティクスがある。

引用元:乳酸菌LS1(エル・エス・ワン)の研究技術情報

歯磨きなどのセルフケアでプラークを物理的に除去するほか、悪い影響を及ぼす細菌よりもいい細菌の勢力を優勢な状態にすることが大切です。それは口腔内フローラの環境を良くするということを意味します。乳酸菌LS1は、口腔内フローラの善玉菌を優勢に働かせ、虫歯菌や歯周病菌に対抗する力をつけるためのサポートに役立つのです。

乳酸菌LS1は眠る前に摂取すると効果的

寝る前にはしっかりと歯磨きをする習慣がついているという人でも、朝になると口の中のネバつきや口臭に悩まされていることが多いのではないでしょうか。口腔内の細菌は歯を磨くことでいったん減少するため、歯磨きの直後は誰でも口の中がさっぱりしています。しかし、細菌は就寝中に増殖するため、寝起き直後は口の中の細菌数がピークに達しています。これが、朝に感じる口の中の不快感の原因です。

前述のとおり、乳酸菌LS1には歯周病原因菌や虫歯の原因菌に対しての攻撃・抑制効果があります。口のネバつきや口臭はそれらの菌が原因となることが多いため、眠る前に乳酸菌LS1を摂取することにより、不快症状の原因菌の活動を抑え込むことが可能です。また、湖池屋の調査で、「寝る前に摂取すると翌朝に効果を感じる」と答えた人が80%いることから、乳酸菌LS1が朝の口腔内の不快感に効果的だということもわかっています。

なお、乳酸菌LS1を使用したタブレットは、歯磨きの直後に摂取することが推奨されています。歯磨きをしてプラークを除去したあとの方が、口の中全体に乳酸菌が広がりやすいとされているからです。また、歯肉と歯のすき間をしっかりとキレイにしておくことで、そのすき間にも乳酸菌が入り込みやすくなると言われています。歯と歯肉のすき間に乳酸菌LS1が入っていくことで、歯ブラシでは届かないすき間にも効果が期待できます。

乳酸菌LS1を配合した商品

乳酸菌LS1を配合した商品は、主にお口の中の健康を保つ目的で作られています。「LS1」という名称のものと「TI2711」という名称のものがありますが、どちらも同じ乳酸菌を使用している商品です。

(※"LS1"の正式名称は「Lactobacillus salivarius TI2711<ラクトバシルス・サリバリウスTI2711>」です)

湖池屋 乳酸菌エル・エス・ワン

乳酸菌LS1を生きたままの状態(生菌)として、1粒に2.8億個(製造時の数値)配合しているタブレットです。口の中でゆっくり舐め溶かすように食べることで、口腔内に乳酸菌LS1が広がります。推奨摂取目安は1日3粒で、朝昼晩の歯磨き後に食べることがおすすめです。さわやかなクリーンミントの香味で、歯磨きしたあとに食べても気になりません。

ライオン Systema 歯科用オーラルヘルスタブレット

乳酸菌LS1(ライオンでの表記は"TI2711")の生菌を、1gに3億個配合したタブレットです。さわやかなミント味のタブレットは硬めにできているので、キャンディ感覚でゆっくり食べるのがおすすめです。口の中でしっかり舐めて溶かすことで、乳酸菌が口腔内に広がります。食べる量に決まりはありませんが、こちらも1日3粒が摂取目安です。

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参照元

  1. 乳酸菌LS1(エル・エス・ワン)の研究技術情報:http://ls1.jp/
  2. コイケヤLS1ショップ「乳酸菌LS1とは|これからは歯みがきプラス乳酸菌!」:http://ls1.koikeya.co.jp/shop/pages/about-ls1.aspx

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管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

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