ラクトバチルス プランタルムYIT0132(LP0132)は、ヤクルト株式会社によって発見された乳酸菌です。この乳酸菌に関する特徴や、期待される効果に関する研究報告についてご紹介します。
ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)は、漬物の中から分離された、ヤクルト株式会社独自の乳酸菌。柑橘果汁中での発酵性が良好で、乱れた免疫のバランスを改善するインターロイキン-10の産生誘導性が高いなどの特徴を持っています。
ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)は、上記の特徴からアレルギー症状を抑制する働きを持っていると考えられています。インターロイキンとは、免疫細胞(リンパ球やマクロファージなど)が分泌するたんぱく質のひとつ。インターロイキン-10は、制御性T細胞を活性化して、乱れた免疫細胞のバランスを整えます。この特徴により、アレルギーの症状を改善する働きが期待されています。
ラクトバチルス プランタルムYIT0132(LP0132)のアレルギー症状抑制効果については、さまざまな研究が行われています。
アレルギー性鼻炎には、一年中発症する「通年性アレルギー性鼻炎」と「季節性アレルギー性鼻炎」に分類されます。通年性アレルギー性鼻炎はダニやハウスダストなどを原因物質とするもので、季節性アレルギー性鼻炎は特定の花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)が飛散する時期にのみ発症するものです。
上記2種類のアレルギー性鼻炎について、ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)がどのように働きかけるのかを調べた研究データをご紹介します。
スギ花粉が飛散する2月から4月にかけ、スギ花粉症を持つ男女42名を対象として、季節性アレルギー性鼻炎の症状とラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)の関連性を調査。対象者を2つのグループに分け、一つのグループにはラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)発酵果汁飲料を、もう一つのグループは乳酸菌で発酵させていない果汁飲料を1日100ml、8週間飲み続け、花粉症の自覚症状に関する調査と採血を行ったものです。
鼻・目・皮膚のかゆみに関するスコアの平均値をかゆみスコアとし、試験飲料の飲用によるかゆみスコアの変化を調べたところ、両群とも花粉飛散量の増加に伴ってかゆみスコアが上昇しましたが、L.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料群ではプラセボ飲料群に比べかゆみスコアが優位に低くなり、かゆみ症状の軽減効果が明らかとなりました。
また、かゆみに関する自覚症状のほかにも、採血を行って血液中におけるアレルギー関連パラメーター(スギ花粉特異的IgE抗体、ヒノキ花粉特異的IgE抗体、総IgE抗体、好酸球数)についても調査しています。
血液中のアレルギー関連パラメーターのうち、IgE抗体に関しては両群間に差は見られませんでしたが、好酸球数の変動率に関しては、プラセボ飲料群では試験日数の経過に伴って上昇したにも関わらず、L.プランタルムYIT発酵果汁飲料群では、試験期間を通じてほとんど変動しませんでした。
上記のレポート中に出てくる「好酸球数」とは、アレルギー性疾患において炎症の指標とされているもの。炎症が起きている部位に多く集まるという特徴があります。ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)発酵果汁飲料を飲んだグループでは、この好酸球数の上昇が抑えられ、試験期間中には変動があまりなかったことから、アレルギー症状が抑えられると考えられています。
また、通年性アレルギー性鼻炎に関する研究についてもご紹介します。こちらの研究で対象となったのは通年性アレルギー性鼻炎症状を持つ男女33名。この対象者をラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)発酵果汁飲料を飲むグループ、乳酸菌で発酵させていない果汁飲料を飲むグループの2つに分け、8週間飲用後に鼻の自覚症状と生活の質に関する調査を行いました。
プラセボ飲料群に比べて、L.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料群では、総合鼻症状スコアは優位に改善しました。また、鼻閉スコアのみに置いても、L.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料群はプラセボ飲料群に比べて優位に改善しました。
また、季節性アレルギー性鼻炎と同様、血液検査においてはアレルギー関連パラメーターの改善が認められています。
また、アトピー性皮膚炎との関連性についても研究が行われています。調査は、肌が乾燥しやすい10月から2月に、アトピー性皮膚炎の症状を持つ32名を対象として実施。その内容としては、ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)発酵果汁飲料を8週間飲んでもらい、その後アトピー性皮膚炎症状と生活の質について飲用前と比較するというものです。
L.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料を継続して飲用することにより、Skindex-16スコアの合計値は飲用前に比べて優位に低くなりました。さらに飲用終了8週間後においても、スコアは低い値を維持し、L.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料の継続飲用によってアトピー性皮膚炎の症状を改善し、QOLを向上させることが明らかとなりました。
Skindex-16とは、アトピー性皮膚炎の症状および生活の質(QOL)を評価する質問項目です。Skindex-16のスコアから、ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)発酵果汁飲料を継続飲用することによって、アトピー性皮膚炎に関する症状を緩和が期待できます。
どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。
もちろん、ここで紹介したラクトバチルス プランタルムYIT0132(LP0132)についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。
世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)は、ヤクルト株式会社が保有する独自の乳酸菌。東北地方の漬物の中から採取され、ヤクルト本社の中央研究所により保存されていました。
ラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)を用いた商品としては、ヤクルト株式会社から販売されている「ヤクルトのおいしいはっ酵果実」が挙げられます。この商品は、温州みかん果汁をラクトバチルス プランタルム YIT 0132(LP0132)で発酵させたもの。
アレルギー特定原材料を含んでいないため、乳アレルギーやアトピー性皮膚炎を持つ人でも安心して飲むことができる飲料です。2018年より全国で販売が開始されています。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?