日本酒の酒造メーカー「菊正宗」が開発した乳酸菌LK-117について詳しくご紹介します。乳酸菌LK-117は、日本酒の伝統的な製法である「生酛づくり」から生まれた乳酸菌。免疫機能のバランスを整える働きがあることから、肌のバリア機能の向上や花粉症の改善など、さまざまな効果が期待されています。乳酸菌LK-117の特徴や研究報告、配合商品などについて見ていきましょう。
乳酸菌LK-117とは、大手日本酒メーカーとして知られる菊正宗酒造株式会社が開発・商品化している乳酸菌。お米の中から発見された、酒造会社ならではの菌株です。
2019年現在、乳酸菌LK-117が持つヒトへの作用については、まだ十分な臨床データがあるとは言えません。しかし、細胞レベルでの実験やマウス実験を通じ、乳酸菌LK-117にはバランスの崩れた免疫機能を調節する働きがあることが、徐々に分かってきました。
免疫機能の調整作用が働くことで期待される具体的な作用は、たとえば次のようなものです。
花粉やハウスダストなどの影響により、鼻や目などの粘膜組織を中心にさまざまな症状を生じる例があります。これら症状の背景には免疫機能の乱れが指摘されるため、乳酸菌LK-117による免疫調整作用により、症状が緩和される可能性があります。
肌荒れを始めとした各種の肌の不調もまた、免疫機能のバランスの乱れが関与しているとの指摘があります。その典型的な症状が、アトピー性皮膚炎でしょう。乳酸菌LK-117の免疫調節作用により、これら肌のトラブルが緩和する可能性があります。
そもそも免疫機能とは、体に生じる様々な症状の改善を助ける存在。アレルギー症状の緩和や肌のバリア機能の向上だけではなく、さまざまな作用が期待されることでしょう。
乳酸菌LK-117の作用の背景には、この菌が持つ免疫調節作用があると考えられています。以下、菊正宗酒造総合研究所の公式HPを参考に、乳酸菌LK-117の免疫調整作用に関する研究報告をご紹介します。
なお、人の体は、外部から侵入する外敵や、内部で発生する病原体などに対し、免疫という力を発揮して抵抗する機能を持っています。この免疫機能が低下すると、アレルギー反応をはじめとする、さまざまな症状が引き起こされてしまうのです。健康な体を維持するためには、免疫力を正常な状態に保つ必要があります。
菊正宗が言う「免疫調整作用」とは、バランスの崩れた免疫機能を正常な状態に戻す働きのことを指しています。
菊正宗酒造(株)嘉宝蔵の生酛より分離した乳酸菌Leuconostoc. mesenteroides 9株, Lactobacillus. sakei 8株の加熱死滅菌体を用いてマウス由来マクロファージ様細胞株J774.1に刺激を与えたときのIL-12産生能を調べたところ、試験に供した乳酸菌17菌株全てにおいて、乳酸菌の刺激を与えないときに比べ、IL-12産生能が増加することが明らかとなりました(第2図)。
IL-12とは、1989年に発見されたNK細胞刺激因子の一つ。免疫機能を整える働きがあることで知られています。
この試験では乳酸菌LK-117を使っていませんが、菊正宗が保有する代表的な生酛乳酸菌において、細胞レベルでの免疫調整作用があることが確認されたデータです。
次に、免疫調節作用が高いと考えられた乳酸菌L. mesenteroides LK-103および L. sakei LK-117、 127、 133、 141の5菌株について、マウスを用いてアレルギーモデルである受動皮膚アナフィラキシー反応に対する抑制作用を調べることにしました。マウスに乳酸菌の加熱死滅菌体を1日1回、4日間強制経口投与を行いました。その後、マウスにアレルギー反応を起させ、耳の腫れが乳酸菌体を投与することにより軽減されるか調べたところ、LK-141株を除いた4株において有意に耳の腫れが抑制され、その効果はL. sakei LK-117株で最も高いことがわかりました(第3図)。
マウスを使った試験において、乳酸菌LK-117を含む4種類の乳酸菌にアレルギー症状の軽減作用が確認されました。4種類の乳酸菌の中では、LK-117が最も高い作用をもたらしたとのことです。
アレルギー反応の代表的な症状の一つに、アトピー性皮膚炎があります。上記のマウス実験において、乳酸菌LK-117にはアレルギー症状を軽減させる働きがあることが確認されたため、菊正宗酒造では、同じくマウスを使ってアトピー性皮膚炎に対する作用の有無について実験しました。
実験の結果、状態の低下が確認された例もある一方で、有意差が見られなかった例も確認。そもそもアトピー性皮膚炎の発症原因は、いまだに特定されていないという背景もあることから、同社では、乳酸菌LK-117が持つアトピー性皮膚炎に対する作用について、「今後さらなる検討の余地がある」と結論づけています。
乳酸菌LK-117が持つ働きについては、上記で説明した通りです。以下では、乳酸菌LK-117および配合商品「米のしずく」に関する、機能性以外の特徴をご紹介します。
乳酸菌LK-117は、菊正宗と神戸大学の共同研究から開発された乳酸菌。研究に携わった同大学大学院の水野雅史教授は、LK-117乳酸菌の開発等について次のようにコメントしています。
幾度にもわたる実験の結果、バランスを整えるチカラが期待できることが明らかになりました。酒づくりの根幹を支える米と乳酸菌は、もともと大変相性の良い組み合わせ。酒は、栄養の基礎がぎっしりと詰まっています。米と乳酸菌から生まれた『米のしずく』は、日本人の体にぴったりの健康食品。そう私は自信を持ってお薦めします。
引用元:菊正宗「米のしずく」
なお、菊正宗とLK-117乳酸菌の共同研究を行った水野教授は、日本食品化学工学会奨励賞や森喜作賞などの受賞歴がある実績豊富な研究者です。
乳酸菌LK-117、および同乳酸菌の作用に注目した研究課題が「生酛乳酸菌のバイオジェニックス効果に着目した米乳酸発酵飲料の開発」。兵庫県立工業技術センターの吉田氏、菊正宗酒造株式会社の高橋氏・増田氏、そして神戸大学大学院教授の水野氏の共同研究課題です。
乳酸菌LK-117が高い免疫調節作用を有する可能性を示した重要な研究報告として、同研究は日本生物工学会の「第24回生物工学自技術賞」を獲得しました。
乳酸菌LK-117を配合するサプリメント「米のしずく」は、経済産業省の「地域資源活用型研究開発事業」から生まれた成果を活用して誕生した商品。乳酸菌LK-117の研究の有用性は国も認めていた、と言えそうです。
大人にも子供にも、広く安全に飲み続けて欲しいとの願いから、「米のしずく」は、アレルギーの表示対象となる27品目を一切含まずに開発されています。爽やかなヨーグルト風味なので、小さなお子様でも喜んで飲み続けられることでしょう。
さまざまなライフスタイルやお好みの方を想定し、菊正宗は、ドリンクタイプとタブレットタイプの2種類の「米のしずく」を用意しました。朝食などに合わせて飲みやすいドリンクタイプと、携帯に便利なタブレットタイプ。毎日の生活習慣に適したほうを選ぶことができます。
乳酸菌LK-117配合サプリメント「米のしずく」は、品質管理が行き届いた国内工場で製造されています。製造工場は、原料の受け入れから製品出荷にいたるまで「適正な製造管理と品質管理」が保証されているGMP認定工場。小さなお子様が口にする可能性も考慮し、「米のしずく」は徹底した品質管理のもとで製造されています。
「米のしずく」の原料となる米の品種は、高アミロースを特徴とする「ホシニシキ」。国内では流通していない希少な銘柄です。 なお一般的な米の品種に比べると、「ホシニシキ」には約3倍のポリフェノール、約6倍の食物繊維が含まれています。乳酸菌LK-117との相乗効果が期待されることでしょう。
「米のしずく」には、乳酸菌LK-117に加え、アミノ酸とペプチドが豊富に含まれています。ドリンクタイプの場合は1本あたり150mg、タブレットタイプの場合は1日の摂取目安量3粒あたり30mgのアミノ酸・ペプチドを配合。乳酸菌が持つ腸内環境改善作用に加え、季節の変化に敏感な方、肌の感想が気になる方、生活習慣を見直したい方の健康を、力強くサポートします。
菊正宗の公式HPを参照し、ユーザーから寄せられたLK-117に関する素朴な疑問をQ&A方式でまとめました。
A:商品には、LK-117を加熱殺菌した状態で配合しています。殺菌したLK-117のほうが、生菌よりも高い機能性が期待できるからです。
A:どちらも、LK-117の配合量は同じです。ただしドリンクタイプには、LK-117のほかにも、米由来のポリフェノールやペプチドなど、他の栄養成分も豊富に含まれています。
A:米のしずくは原材料にこだわった商品です。日本では流通していない特別な米「ホシニシキ」を原料としているため、他の一般的な米由来のサプリメントに比べ、価格が高めかもしれません。
乳酸菌LK-117を配合した商品には、同乳酸菌の開発元である菊正宗が販売しているドリンクタイプのサプリメントと、タブレットタイプのサプリメントの2種類があります。
乳酸菌LK-117に、ポリフェノールやペプチド、食物繊維、アミノ酸などを豊富に配合したサプリメント。タブレットタイプに飲みにくさを感じる方には、ドリンクタイプがおすすめです。1本で10日分。
1日の摂取目安量3粒の中に、乳酸菌LK-117を100億個以上配合。ドリンクタイプとは異なり、米由来の他の成分の配合は少なめですが、持ち運びの手間もかからないことから、より気軽にを続けていきたいという方にお勧めです。
どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。
そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?