種類やはたらきが丸わかり! 家族のための乳酸菌大辞典

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ライラック乳酸菌

ライラック乳酸菌はライラックの花から採取して大豆で育てた完全植物性乳酸菌です。

酸・熱・乾燥に強い乳酸菌

ライラック乳酸菌は、極めて耐久性が高く熱や酸に強い特徴があり腸内の環境を善玉菌が短鎖脂肪酸をつくりやすい環境にします。

ライラック乳酸菌は有胞子性乳酸菌という厚くて丈夫な被膜をもった乳酸菌です。酸(胃酸)や熱、乾燥にも強く、生き抜く力が強い菌です。麦芽から発見された乳酸菌の一種で、バチルス コアグランス(Bacillus Coagulans)ともよばれ、これまでの乳酸菌やビフィズス菌とは全く違う働き方をします。オリジナルの菌株として特許を取得し(特許第5006986号)、北海道地方発明表彰・特許庁長官賞も受賞しています。

ライラック乳酸菌の場合、有胞子性乳酸菌の中でも、特に熱や酸などに強い菌をえりすぐっているため、胃や小腸ではほとんど死なず、ほぼ100パーセントが生きた菌のまま腸に届きます。そのため他の乳酸菌サプリメントと比べると圧倒的に少ない量で効果が得られます。

乳糖ではなくオカラを使用

ライラック乳酸菌は乳糖などの保護剤を使用していないので乳糖不耐の人が摂取しても水様便になる危険性がなく、安心して摂取できるという利点もあります。またライラック乳酸菌は、ひとりひとりちがう腸内フローラを善玉化する工夫もされています。そのひとつがオカラカプセル。このオカラカプセルのおかげで、大腸の手前から奥まで広い範囲で目を覚まして乳酸をつくり、その乳酸を利用する善玉菌が短鎖脂肪酸をつくれるように、腸内環境を整備する働きをしています。

ライラック乳酸菌を包むオカラカプセルには菌の栄養がついており、大腸を進むにつれて発芽しオカラの栄養を食べて発酵します。そのため大腸の奥まで生きて届いて増殖し、大腸の奥にある菌まで悪玉化を抑えます。

また腸内の善玉菌(乳酸利用菌)にもエサを与えて体に良い酸(短鎖脂肪酸)をつくります。この短鎖脂肪酸は腸のエネルギー源で腸の健康を維持する機能もあります。

腸内を整えながら便通を促進

腸の健康が維持されれば便通が整ってくるので、良い腸内環境であることが大切だといわれますが、良い腸内環境であるとは、いったいどんなことなのでしょうか。

腸内には様々な細菌がいて、その集まりをお花畑に例えて「腸内フローラ」と言いますが、この腸内フローラがヒトの健康に大きく関わっていることが最新の研究でわかってきました。よく善玉菌と悪玉菌という説明を目にしますがわかりやすく説明するための方便で、悪玉と思われていた菌も何らかの役割を担っている可能性もあるのではないかと指摘されてきましたが、従来は悪玉菌と思われていた菌も乳酸を利用して短鎖脂肪酸をつくったり、免疫作用を正常化したりする役割があることが判明したのです。

そこで最近注目されているのは、菌種で善悪の判断をすることではなく、腸内の栄養状態と酸性度(pH)を目安にするという捉えかたで、理想的な腸内環境はpH5~6.5くらいとされています。

腸内の栄養状態が悪く、酸性度(pH)が高いと腸内細菌が腐敗物質をつくり、腸内環境が悪化し便秘になります。

また、酸性度(pH)が低すぎる場合は、乳酸やコハク酸が蓄積して慢性的に便がゆるい状態になります。

ライラック乳酸菌は腸内で乳酸をつくり体に良い短鎖脂肪酸を増やすので腸内環境が整い、腸の健康を維持しながら便通(便の回数や残便感)を改善することができるそうです。

エビデンスがある!
ライラック乳酸菌の効果

便通・便性改善効果に対するエビデンス

人を対象にした研究結果が多数あります。以下、論文からの内容です。

続けて摂ることで便通・便性が改善するか

被験食は1日あたり1包 (2g)(プラセボ(オカラ粉末)、試験食(ライラック乳酸菌 1×108cfu ))、試験形式はランダム化二重盲検プラセボ対照試験、対象者は便秘傾向を自覚する健常成人(20-80 歳)297 名(プラセボ摂取群149名、ライラック乳酸菌 摂取群148名)、試験期間は2週間で実施。

摂取開始1週間前から摂取終了後まで毎日、排便回数、排便量 (直径2cm×長さ5cmの円柱何本分か)、便の色と形 (しおりの一番近い数字、形は Bristol stool scale を使用)、便臭、便の出かた、すっきり感を点数で記入。

統計解析は、摂取前1週間、摂取後第1週、摂取後第2週のそれぞれの7日間の平均値を算出し、変化量の Mann-Whitney U 検定を用いて行い、有意水準を 5%未満としました。また RomeIII 診断基準に基づいたアンケートを使用して、群分け(機能性便秘被験者(137名)、非機能性便秘被験者(131名))を行い、サブクラス解析も同様に行いました。

結果
ライラック乳酸菌を摂ることで
便通と便意が改善する

摂取前1週間と摂取後第2週の変化量を、プラセボ群と比較すると、ライラック乳酸菌群の被験者全体では、便の形のみが変化する傾向がみられました (p=0.06)。一方、ライラック乳酸菌群の機能性便秘被験者では、便量、すっきり感、便回数が有意に改善し (p<0.05)、形は有意に変化していました(p<0.05)。便の色、臭いは改善傾向がみられました (p=0.07)。ライラック乳酸菌群の非機能性便秘被験者では、便量のみに改善傾向がみられました (p=0.07)。ライラック乳酸菌群の機能性便秘被験者の便の臭いに関しては、摂取後第 1 週に、有意に改善されていました (p<0.05)。

以上のことから、機能性便秘被験者では、「ライラック乳酸菌」を1日2g (1×108cfu)摂取することにより、プラセボと比較して、便通・便性(便量、すっきり感、回数)が有意に改善することが示されました。また、被験食の「ライラック乳酸菌」には、プラセボに設定したオカラ粉末も含むので、これらの効果はライラック乳酸菌末(バチルスコアグランス lilac-01 株が固着した食物繊維)ためと考えられました。

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ライラック乳酸菌の開発ストーリー

ライラック乳酸菌の開発には、細菌学者である南田公子氏の長年の研究が背景にあります。ライラック乳酸菌の開発ストーリーを覗いてみましょう。

ライラックの花に注目するきっかけ

札幌のある研究機関で腸内細菌の研究を行っていた南田氏。もとから乳製品アレルギーがあった南田氏が考えていたのは、「乳製品アレルギーのある人でも快便を実感できる乳酸菌はないか?」ということでした。

乳酸菌は、多くの場合、培養工程に乳を使用することで生まれる菌。南田氏は、乳ではなく植物から乳酸菌を採取し、植物で培養すれば、乳製品アレルギーの人でも問題なくスッキリを実感できるはず、と考えました。

また乳酸菌は、原料に応じた風味を持つのが特徴。そこで南田氏は、香りの良い植物から生まれた乳酸菌を培養することを考案し、北海道を代表する香りの良い花、ライラックに注目しました。

ライラックの花から働き者の乳酸菌を発見

南田氏は、研究所にたまたま訪れていたアテリオ・バイオ(ライラック乳酸菌の販売会社)の社長に、どこかでライラックの花が手に入らないかを相談。すると社長の自宅にライラックがたくさん咲いていることを告げられ、後日、研究所にライラックの花を持参してもらうようお願いしました。

社長が持ってきた3本のライラックの花を前に、南田氏の研究がスタート。様々な条件で多くの実験を重ね、ついにライラックの花から働き者の乳酸菌を発見しました。

オカラの中でライラック乳酸菌が大量増殖

ライラックの花から良質の乳酸菌を発見したものの、製品化するには培養方法の確立が不可欠。乳ではなく植物原料の中での培養にこだわり、様々な実験を重ねましましたが、どれもうまくいきませんでした。

そんな折、またアテリオ・バイオの社長が研究所に来訪。「オカラの中で乳酸菌が増殖するのでは?」と、オカラを持参しました。

さっそく南田氏は、オカラの中での乳酸菌の培養に着手。結果、ライラック由来の乳酸菌を大量に培養することに成功しました。

オカラでできたカプセルに乳酸菌を入れて製品化

ライラック由来の乳酸菌の好物はオカラであることが分かりました。しかしながら、この原理の中で、いかにして理想的な製品に仕上げるかが最後の課題でした。

試行錯誤の末、ライラック乳酸菌を、オカラでできた微小なカプセルに包み込む方法を考案。大好きなオカラと一緒に腸まで届く、理想的なライラック乳酸菌製品が誕生した瞬間でした。

ライラック乳酸菌の哲学は「シンプル・イズ・ベスト」

ライラック乳酸菌のベースとなる考え方は「シンプル・イズ・ベスト」。余分なものを一切入れずに商品を作るという発想のもと、必要最小限の成分構成で120%の性能を引き出すことに成功しました。

必要最小限の原材料で十分な作用をもたらす

ライラック乳酸菌の成分は、有胞子性乳酸菌末とカプセルの材料のみ。有胞子性乳酸菌末は、有胞子性乳酸菌lilac-01とオカラ粉末のみで出来ています。

一般的な乳酸菌健康食品には、乳酸菌の他にも、デンプンやオリゴ糖、乳成分、乳糖など、さまざまなものが配合されています。これら各種の成分を配合する理由は、乳酸菌をたくさん腸に届けるためです。

しかしながらライラック乳酸菌の開発者・南田氏は、乳酸菌の本来の作用を享受するために、これら各種の成分を不要と考えました。むしろ、これら余分な成分が配合されることで、便がゆるくなるなどの弊害が生まれるとさえ考えました。

必要最小限の原料に抑えたライラック乳酸菌ですが、その作用は様々な科学的検証を経て実証されています。

乳酸菌の数も必要最小限に抑える

ライラック乳酸菌に含まれる1日あたりの乳酸菌の数は、約1億個。1億個と聞くと多いようにも感じますが、他の多くの乳酸菌食品に比べれば、圧倒的に少ない数です。

乳酸菌の数は少ないながらも、297名を対象とした大規模な臨床試験において、その作用は十分に確認にされました。

乳酸菌の数が少ないにも関わらず高い作用をもたらす理由は、原料にオカラを使っているから。オカラを利用することにより、乳糖などの余分な成分を配合しなくても十分に作用を持つ乳酸菌食品を製造できることを、開発者の南田氏は突き止めたのでした。

ライラック乳酸菌の開発者・南田公子

画期的な健康食品、ライラック乳酸菌を開発した南田氏。氏の研究者としての経歴や考えを、少しだけ覗いてみましょう。

39歳で大学に戻り研究活動を再開

たまたま出身大学の近くに住んでいたことがきっかけで、39歳にして指導教授に誘われ、16年ぶりに研究の世界へと戻った南田氏。かつての大学時代の研究環境とは異なり、研究室にはスピーディにDNA検査を行える最新の機械が導入されていました。この機械を使い、爆発的なスピードで研究を進める新米研究者の南田氏でした。

世界初の腸内細菌をたくさん発見

寝食を忘れ、半ば研究室で生活するかのような格好で研究を続けた南田氏。最新の機械のおかげで、世界初の腸内細菌を続々と発見。その功績が認められ、大学からは博士号の称号が授与されました。

安全性へのこだわり

多くの人が摂取する健康食品である以上、成分の作用はもちろんのこと、安全性が何より大事、と南田氏は考えています。

世の中にある乳酸菌食品の多くは、ヒトの便に由来するもの。人間の食経験のないものを摂ることは安全とは言えないと考え、南田氏は、ひたすら植物由来の乳酸菌にこだわり続けています。

参照元

  1. Effects of dietary fiber with Bacillus coagulans lilac-01 on bowel movement and fecal properties of healthy volunteers with a tendency for constipation.2015(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25338680)
  2. アテリオ・バイオ:ライラック乳酸菌発見物語(http://arterio.co.jp/wp/story/)
  3. アテリオ・バイオ:便の質を改善する乳酸菌サプリメント「ライラック乳酸菌」 販売開始(http://arterio.co.jp/wp/topics/nipponhatsu/)
  4. アテリオ・バイオ:ライラック乳酸菌を開発したDr.リラ子の素顔(http://arterio.co.jp/wp/topics/lilaclab_04/)

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管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

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