LB81乳酸菌とは、「明治ブルガリアヨーグルト」に含まれている乳酸菌です。“LB81”とは乳酸菌の菌株ナンバーに由来した名前で、「LB」は“Lactic Acid Bacteria(ラクティックアシッドバクテリア)”の頭文字、「81」は使用している菌株の“ブルガリア菌2038株”と“サーモフィラス菌1131株”の末尾を組み合わせたものです。ちなみに、Lactic Acid Bacteria(ラクティックアシッドバクテリア)は乳酸菌を意味しています。
固有名称を持つ乳酸菌は、ある特定の菌株のみを指した名前であることが多いですが、LB81乳酸菌は「ブルガリア菌2038株」と「サーモフィラス菌1131株」という2つの菌株を組み合わせたものをいいます。LB81乳酸菌を使用しているのは「明治ブルガリアヨーグルト」で、有名なCMソングや店頭でよく見かける青いパッケージから、「日本で売られているヨーグルトの代表的な存在」として良く知られています。LB81乳酸菌はその明治ブルガリアヨーグルトを作るために選ばれた乳酸菌です。
明治ブルガリアヨーグルトに使用されている「ブルガリア菌2038株」と「サーモフィラス菌1131株」は、ブルガリアヨーグルト発祥の地であるブルガリア本国から、定期的に取り寄せられています。明治ブルガリアヨーグルトは日本で販売されていますが、ヨーグルトの本場であるブルガリアの菌を使用した正統なヨーグルトです。
LB81乳酸菌を食べている間は、悪玉菌(クロストリジウム)の数が減少し、善玉菌(腸内常在ビフィズス菌)の数が増えていることから、腸内環境の改善に役立っていることがわかりました。
LB81乳酸菌は腸内環境のバランスを整える効果があることから、便秘改善や便質を上げるなどの「お通じの改善」に役立つことが分かっています。とくに、慢性的な便秘を抱えやすい女性に対しても有効であり、毎日の食生活にLB81乳酸菌をプラスする効果が改めて注目されています。
LB81乳酸菌を摂取することで得られる効果の中でも代表的な、「腸内環境の改善」や「お通じの改善」などの研究結果について、詳しく解説します。
株式会社 明治と日本獣医畜産大学食品衛生学教室との共同研究において、健康な成人がLB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べて、腸内フローラにどのような変化があるか、また腸内で作られている有害物質への影響を調べる試験がおこなわれました。
この試験の対象となったのは38歳~59歳の男性8人で、毎日1日当たり500gの「LB81乳酸菌を使用したヨーグルト」を食べることを2週間続け、期間中の変化について調べられています。調べる項目は食べた時間と量、自分の体調、そして便の性質(硬い、普通、柔らかい)、回数、色、臭気(緩和、不変、悪化)で、それぞれを自己少佐表に記録していく形で実施されました。また、食べる以前と食べ続けている間、そして食べるのをやめたあとの3回で便を採取し、それぞれの細菌の様子や腐敗産物も調べられています。なお、この試験に使用されたヨーグルトは「Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus2038株」と「Streptococcus thermophilus1131株」で発酵したプレーンヨーグルトです。
LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べている間の便に含まれている細菌叢の変化として、悪玉菌であるクロストリジウムは減少傾向になり、善玉菌である腸内常在ビフィズス菌がもともと少なかった試験対象者においては、増加傾向を示しました。
また、腐敗産物であり便のきついにおいのもとなどにもなるアンモニア、フェノール、p-クレゾール、インドール、スカトールなどの量は減少傾向を見せ、とくにアンモニアとインドールは8名中7名が減少するという、有意差を確認できる結果となりました。
なお、減少傾向を見せた腐敗産物は、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べることを中止して2週間経過すると、食べる以前の濃度に戻っていってしまうという傾向が認められました。
LB81乳酸菌を摂取することにより、腸内細菌叢(腸内細菌の集合体、腸内フローラ)の悪玉菌を減少させて、善玉菌を増加させる効果があることがわかりました。悪玉菌を減らして善玉菌を増やすことは、腸内環境のバランスを整えることになります。
また、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べている期間中、便の回数や性質が正常になって体調も良好、そして便の臭気が緩和されたという感想が、自己調査票の記録からわかりました。お通じが整いやすい質のいい便になり、便のきついにおいも感じにくくなるという結果になります。
試験結果から、LB81乳酸菌は腸内フローラの環境を改善させて、腐敗産物を減らすという効果がわかります。ただしLB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べることをやめると、また元の腸内環境に戻るということも同時に明らかになっています。そのため、食べ続けることに重要性があるという結果になりました。
この試験は株式会社 明治と昭和女子大学生活科学部との共同研究によっておこなわれ、一般的に慢性的な便秘になりやすい20歳前後の女性を対象として、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べたときの効果について調べられました。
試験の対象となったのは18歳~21歳の女子学生106名です。試験対象者となった106名には排便が週4回以下の「便秘傾向者」と排便が週5回以上の「正常者」が含まれています。これを無作為に「1日あたり100g食べるグループ50名」と「1日あたり250g食べるグループ56名」の2グループに分けて、対象者は6週間LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べ続けました。
そして排便をするごとに、①排便回数、②排便量、③外観的形状、④色、⑤臭い、⑥排便後のスッキリ感の6つの項目を、アンケート用紙に記入しました。
ここで使用されたLB81乳酸菌を使用したヨーグルトは、「Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus2038株」と「Streptococcus thermophilus1131株」で発酵したプレーンヨーグルトです。
6週間LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べることを続けた結果、①の排便回数と②の排便量において、回数と量の増加が認められました。この①・②の増加は、排便回数が週4回以下だった便秘傾向者ほど、強い効果があるという結果になりました。
また、③の外観的形状では、理想的だとされている「バナナ状」、「半練り状」の便になる回数が増加しました。便秘傾向者も、排便回数が週5回以上の正常者においても、硬い便が理想的な柔らかさになりました。
④の色や⑤のにおいには変化が見られないという結果になり、⑥のスッキリ感は便秘傾向者で増えました。なお、①~⑥のどの項目でも、100gと250gの2グループでは差がほとんどありませんでした。
上記の内容でおこなわれた試験の結果、お通じの回数や量が増えたり、また便の形状が適正化されたりと、便秘を改善するにあたりいい結果を収めました。このことから、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトには、お通じ全般を改善する効果があることがわかりました。また、便の硬さや、逆に柔らかすぎる状態などが改善され、排便後にスッキリ感を感じるという効果は、とくにこれまで便秘傾向が見られた人ほど際立った改善が見られました。
食べる量においては多ければ多いほどよいというわけではなく、100g以上食べていれば大差がないこともわかっています。目安として1日100g以上LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べれば、お通じの改善効果が期待できるようです。
株式会社 明治とパスツール研究所との共同研究によって発見された、LB81乳酸菌についてわかった新たな効果について紹介します。
LB81乳酸菌には、腸の防御機能(バリア機能)を高めるために重要な物質である、「抗菌ペプチド」の発言を高める効果があると確認されました。
本来の健康な腸は、防御機能として腸上皮細胞の表面に外敵の攻撃から守ってくれる腸管バリアという層を持っていますが、現代人の腸はその働きが低下しているといわれています。その原因は、加齢や消化器官に負担をかける食生活、過労やストレスなど、様々な負担です。この負担によりバリア機能を支えるための成分が減少するため、腸管バリアの働きが悪くなり、細胞が病原菌や有害物質からの攻撃を受けやすくなってしまいます。
その腸管バリアを構成する成分の中でも特に重要だと考えられているのが、先述した「抗菌ペプチド」です。LB81乳酸菌には、ストレスや老化などで様々なダメージを受けた腸上皮細胞にアプローチし、抗菌ペプチドの発言を促進する働きがあることがわかってきました。
抗菌ペプチド(Regファミリー)は、腸上皮細胞で生まれて、腸管を細菌や病原菌など有害な物質から守ってくれる働きをしています。また、さらに腸内フローラのバランスを整える役割を担っています。バリア機能を構成している成分を調べると、そのなかでも抗菌ペプチドの発現が、若いマウスに比べて老齢のマウスの方が少ないということがわかりました。
そこからさらに、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを与えた老齢マウスと与えていない老齢マウス、そして若いマウスの抗菌ペプチド発現を比べてみました。結果、とくにReg3b(ベータ)とReg3g(ガンマ)の発現にいい影響があることがわかってきたのです。このうち「Reg3gの発現を抑えたマウスは大腸炎が悪化して治りづらくなった」という論文も発表されているため、Reg3gが大腸の炎症においてとても重要な抗菌ペプチドである可能性があるとされています。
さらに、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを若いマウスにも与えてみたところ、老齢のマウスと同じくReg3bとReg3gにおいての発現促進効果が認められました。そのことから、年齢を重ねた腸だけではなく、若い年齢の腸においても、LB81乳酸菌のバリア機能向上効果が期待できることがわかりました。
研究の結果から、LB81乳酸菌を摂取することにより、腸管バリアにとって大切な存在である抗菌ペプチドにおいて、そのなかでも重要なReg3bとReg3gの発現を促進することができるとされています。LB81乳酸菌を定期的に摂取することにより、腸の持つ外敵からの攻撃を防御する機能を高める効果を得られるということが、新たに分かってきたメリットです。
LB81乳酸菌には、腸内の免疫細胞にもいい効果をもたらしていることが確認されました。
人間の腸には年齢に応じて最適なコンディションがあり、その状態に合わせようとする「腸の恒常性」という習性があります。加齢や何らかの病原菌などが原因になってその恒常性が保たれなくなってしまうと、免疫の恒常性も同時に低下してしまうことが予想されています。
腸内フローラに住む善玉菌・悪玉菌・日和見菌で構成されるバランスを整える作用がある「LB81乳酸菌」を摂取することにより、腸内フローラの恒常性が保たれ、その結果免疫力も適した状態に戻るのではないかという仮説のもと、研究がおこなわれました。
その結果、腸内フローラだけではなく腸の内側に存在する免疫細胞へも、LB81乳酸菌が働きかけていることがわかりました。LB81乳酸菌の作用により免疫細胞のコンディションが適した状態に保たれることで、体全体の健康へ様々な有用効果が期待されています。
ただし、どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。
そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?