種類やはたらきが丸わかり! 家族のための乳酸菌大辞典

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ラブレ菌

ラブレ菌は、漬け物の名産地である京都の三大漬け物のひとつ、すぐきから発見されました。「ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis KB290株)」というのが正式名称。

愛称の「ラブレ菌」は、頭文字をとって名づけられました。

京都の漬物から見つけた!
安心・安全の植物性乳酸菌

発見のきっかけは、ラブレ菌の発見者である岸田綱太郎博士が、「京都の男性は全国2位の長寿」という新聞を見て「京都人が好む漬物の中に健康維持に関わるものがあるのでは?」と京都の漬物をひとつひとつ調べたことです。そして1993年にすぐき漬からラブレ菌を発見しました。

すぐきは京都上賀茂地区周辺で栽培される、カブに似た「すぐき菜」を保存するために塩漬けにして発酵させた漬け物です。約200 年前に京都で生まれて親しまれ、今では全国的にも知られています。

乳酸菌というと、「乳」酸菌という名前だけに、ヨーグルトやチーズのような乳製品を思いつく方が多いと思いますが、実は日本では古くからおなじみの乳酸菌がたくさんあります。たとえば味噌や納豆、漬け物などは、この乳酸菌の発酵によってつくられています。これは主に野菜や豆などを発酵させる植物性乳酸菌といいます。そしてヨーグルトやチーズのような乳製品を発酵させるのは動物性乳酸菌になります。

ラブレ菌は生菌

そして栄養分が豊かな環境ですくすくと育つ動物性乳酸菌に対し、植物性乳酸菌は漬け物などの塩分や酸が高い過酷な環境で育つので、生きぬく力が強い菌が多いと言われています。そのため胃酸にも負けず、腸まで生きたまま届いて腸の中でも生き抜くことがわかっています。

日本人にあった乳酸菌

しかし最近では食スタイルの変化から日本人が和食を食べる機会が減り、植物性乳酸菌の摂取量が減っているというデータもあるそうです。

強いパワーが秘めたラブレ菌は、腸内での増殖力にも優れていることが確認されていて免疫力が高められると考えられています。これはラブレ菌は腸内でリンパ球を刺激し、「インターフェロンa」という成分をつくらせるからだと言われています。このインターフェロンaは、ウイルスやがん細胞を攻撃するNK細胞の働きを高める成分で、インターフェロンa自体にも抗ウイルス作用、抗がん作用があるためです。

マウスを使った実験ではインフルエンザに感染させ3日間経過を見たところ、ラブレ菌を投与したマウスの方がウイルスの数が少なかったそうです。免疫力が高まればインフルエンザ以外にもアレルギーやガンを防ぐことにつながります。

日本人にとって長い間親しまれてきた植物性乳酸菌はとても相性の良い植物性乳酸菌なので、毎日の健康づくりのために役立てたいですよね。

エビデンスがある!ラブレ菌の効果

過敏性腸症候群に対する効果

IBSと診断された6歳以上の男女(35名)を2群に分け、4週間の試行前観察期間の後に生きたラブレ菌(ラクトバチルスブレビスKB290)を製造時に100億個以上含むカプセルを、プラセボ食品には、ラブレ菌を含まないカプセルを使用。

試験食品は、1日に1カプセルを朝昼晩いずれかの食後に摂取。

IBSの症状として腹痛の発症回数と下痢や便秘の状況(排便回数、便性状)を日誌にて調査。また、便を採取し、糞便内菌叢(※)を調査。

QOLの平均値は、試験カプセルの消費の間に改善された。腹痛の発症回数は、被験食品摂取期間では他の期間と比べて有意に小数でした。

排便回数は、各期間で違いはありませんでしたが、便性状は、被験食品摂取期間では他の期間よりも水っぽかったりドロドロしていた下痢が出る回数が減り、正常な便(バナナ状の便)が出る回数が増えました。

ラブレ菌を摂取した期間では、腹痛や下痢といった症状が良くなりました。腸内環境を見てみると悪玉菌が少なく、善玉菌が多い腸内菌叢に改善していたことから、ラブレ菌を摂取することで腸内環境が整い、腹痛や下痢といった症状が改善することが期待できます。

※過敏性腸症候群(IBS)

月に3日以上の腹痛や腹部不快感を伴う、下痢や便秘を繰り返す病気です。病因は、ストレスや環境、感染症にかかったり、腸内環境が乱れていたり…ということが考えられていますが、詳しいことは分かっていません。

※糞便内菌叢

ヒトの腸内には様々な菌が数多く生息しています。同様に便にも様々な菌が含まれていますが、便に含まれている菌は腸内の菌をある程度反映していると言われています。これらの菌の種類や数などの生態系を菌叢と言います。

抗感染作用(動物実験)

ラブレ菌発酵物の抗感染作用をあきらかにするために、ラブレ菌を用いてニンジンエキスを発酵させた発酵物の投与が、食中毒の菌であるサルモネラ菌を与えたマウスの健康状態にどんな影響を与えるか調べました。

マウスに、ラブレ菌を含んでいないエキスを与えるとサルモネラ菌を接種した後から段々悪化しました。それに対し、ラブレ菌を含んだエキスを与えると、殺菌の有無にかかわらず、試験期間中を通じて健康な状態でした。

結果、モデルマウスを用いた動物実験において、ラブレ菌を含んだ発酵物を与えることで健康な状態を保てることから、ラブレ菌発酵物が抗感染作用を持つことが示唆されました。

排便頻度に対する作用

便秘を自覚している被験者を2つのグループに分け、一方のグループだけ4週間にわたってラブレ菌を摂取してもらい、両グループの排便頻度について観察しました。

その結果、「ラブレ菌を摂取していないグループ」が2週間に約1回の排便頻度だったのに対し、「ラブレ菌を摂取するグループ」は2週間に約3回の排便頻度となりました。

ビフィズス菌の占有率上昇による各種の作用

「ラブレ菌を摂取したグループ」と「ラブレ菌を摂取していないグループ」で、腸内におけるビフィズス菌の占有率の違いを調査。

その結果、「ラブレ菌を摂取していないグループ」におけるビフィズス菌の占有率が20%程度だったのに対し、「ラブレ菌を摂取したグループ」は25%程度だったというデータが得られました。

ビフィズス菌には、整腸作用の他にも、免疫調節作用など、さまざまな作用があることが知られています。腸内細菌におけるビフィズス菌の占有率が高まることにより、多くの健康効果がもたらされることが期待されます。

更年期障害を改善させる可能性

更年期障害を自覚している45~55歳の被験者13名に対し、ラブレ菌の投与が症状の改善につながるかどうかの臨床試験を行いました。

その結果、便秘、肩こり、冷え、腰痛などの改善傾向が確認されました。ラブレ菌には更年期障害によってもたらされる一部の症状に対し、改善効果を発揮する可能性が示唆されたのです。

ラブレ菌発見の背景

前述のとおり、ラブレ菌はルイ・パストゥール研究所(京都市)を設立した医学博士・岸田綱太郎氏によって発見されたものです。

岸田博士は、もともと乳酸菌の研究者だったわけではなく、長年にわたり、がん・感染症と免疫との関係を研究してきた医学者です。当然、それまでの博士の功績は乳酸菌の研究ではなく、がんの治療分野におけるもの。1972年、日本で初めてインターフェロンというタンパク質の投与により、がんの治療実績をあげた医学者として、博士の名は広く知られています。

インターフェロンというのは、もともと人の体の中で自然に作られている物質。博士は、これを人工的に生成・投与することでがん治療を行っていましたが、治療の副作用が強いなど、さまざまな課題が発覚。やがて「本来、インターフェロンは人間の体で作られるものだから、その生成を促す物質を患者に投与すれば良いのではないか」という考えにいたります。

博士はインターフェロンの生産量を促進する物質を探し、体に良いとされる食品を数多く研究。その過程で、博士は乳酸菌に注目することになったのです。それから数多くの研究を重ね、1992年、京都の名産「すぐき漬」からラブレ菌を発見したのです。

ラブレ菌を配合した商品

ラブレ菌を配合した商品は、トマトジュースで知られるカゴメから数多く販売されています。ここでは、カゴメが販売しているラブレ菌配合食品の一部をご紹介します。

カゴメ ラブレ プレーン

  • 価格:店頭価格
  • 内容量:80ml×3本

腸まで生きて届いて腸で働くラブレ菌を配合した植物性乳酸菌飲料。コレステロールも乳脂肪もゼロなので、生活習慣病を気にする方でも気軽に毎日飲むことができます。甘さ控えめなので、お風呂上りや寝起きなどでもすっきりと飲めるのが特徴です。

カゴメ ラブレ ミックス

  • 価格:店頭価格
  • 内容量:80ml×3本

ラブレ菌とイソフラボンをミックスさせた植物性乳酸菌飲料。イソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをするため、毎日摂ることにより、更年期障害や月経前症候群(PMS)の症状緩和効果も期待できると言われています。

カゴメ ラブレ りんご果汁ミックス

  • 価格:店頭価格
  • 内容量:80ml×3本

ラブレ菌とリンゴ果汁を配合した植物性乳酸菌飲料。砂糖を使用せず、リンゴ果汁だけの甘さを味わえるため、大人はもちろん、子供も美味しく飲むことができるでしょう。1本80mlあたりに、1日分のビタミンCも配合しています。

カゴメ ラブレLight

  • 価格:店頭価格
  • 内容量:80ml×3本

1本あたりのカロリーを11kcalに抑え、糖質を50%OFFにしたラブレ菌飲料。メタボリック症候群の方や予備軍の方でも、毎日安心して飲むことができます。すっきりとした味わいなので、どんなシーンでも美味しく飲めそうです。

カゴメ ラブレLight 1日分の鉄分

  • 価格:店頭価格
  • 内容量:80ml×3本

ラブレ菌と1日分の鉄分を配合した、プルーン味の植物性乳酸菌飲料。貧血ぎみの女性は、毎日飲むことで貧血症状の改善が期待できそうです。

植物性乳酸菌ラブレ タブレット

  • 価格:3,334円
  • 内容量:1袋90粒(1日3粒目安)

1日の目安量である3粒の中に、ラブレ菌が60億個以上配合されたヨーグルト味のタブレット。手軽に持ち歩けるので、いつでもどこでも手軽にラブレ菌を摂取したい方には、とても便利です。

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参照元

  1. Improvement in the irritable bowel syndrome by consumption of Lactobacillus brevis KB290,2018年7月27日参照:(http://www.kagome.co.jp/company/news/2010/000164.html
  2. 東京農業大学・「食と農」の博物館「日本の食文化『植物性乳酸菌』を科学する -五感で学ぶ!まるごと『植物性任産金』-」:(https://www.nodai.ac.jp/application/files/4814/8601/2720/15.pdf(pdf)
  3. カゴメ「~乳酸菌編~ラブレについて」:(https://and.kagome.co.jp/article/blog_story/lact_story/194/
  4. カゴメ「ラブレ菌 (Lactobacillus brevis KB290) に更年期症状(便秘や冷え、肩こり、腰痛など)を改善する効果が期待―カゴメ、石塚産婦人科の共同研究―」:(http://www.kagome.co.jp/company/news/2012/001361.html
  5. カゴメ「商品ラインナップ」:(http://www.kagome.co.jp/labre/

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管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

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