L8020乳酸菌は、虫歯や歯周病の予防に効果的な乳酸菌。広島大学歯学部の二川浩樹教授の主導による産学連携から生まれた乳酸菌です。数々の臨床試験を通じ、虫歯菌や歯周病菌の抑制作用も十分に確認済み。すでにL8020乳酸菌入りの商品も多く販売されています。虫歯や歯周病にお悩みの方は必見です。
2017年6月1日、広島大学大学院医歯薬保健学研究科の二川浩樹教授は、L8020乳酸菌の研究成果、および産学連携による新たな活用について、都内で記者会見を行いました。
二川教授は、長く口腔環境と乳酸菌との関連について研究してきた研究者。研究の過程で、L8020乳酸菌が虫歯菌や歯周病菌、カンジダ真菌に対して高い抗菌性を持つことを発見しました。
ヒトを対象とした臨床試験も通じ、2010年、二川教授は日本で初めてL8020乳酸菌入りのヨーグルトを試作(四国乳業)。のち、さらなる研究を通じ、L8020乳酸菌には、歯周病菌が持つ全身疾患に関わる毒素に対しても不活性作用があることを発見しました。
現在、L8020乳酸菌入りの食品は、四国乳業のみならず、いくつかのメーカーから販売されています。ヨーグルトやタブレット、顆粒、マウスウォッシュなど、さまざまなタイプの商品が販売されていますが、二川教授は「タブレットタイプの商品は抗菌性が高い」と語ります。
世の中には、口腔ケアを行っても虫歯にならない人もいれば、いかなる口腔ケアを行っても虫歯になる人がいます。この虫歯体質は、3歳までの生活習慣によって決まるとの説も。幼い段階からL8020乳酸菌によるケアを行うことで、将来的に、日本から虫歯の患者が大きく減少することが期待されています。
なおL8020乳酸菌は、虫歯のない赤ちゃんの口腔内から発見された乳酸菌。赤ちゃんに虫歯や歯周病がほとんど見られない理由は、L8020乳酸菌の働きによるものと考えて良いでしょう。
日本人が歯を失う2大原因は、歯周病と虫歯。歯を失った人のうち、約42%が歯周病、約32%が虫歯を原因として抜歯にいたっています。日本人の多くが経験する歯周病と虫歯について、その症状や原因などを確認しておきましょう。
歯周病とは、歯と歯肉の境目(歯肉溝)に生じる炎症のこと。歯肉溝には常に細菌が存在していますが、掃除が不十分な場合、この細菌が歯肉溝で増殖します。細菌が増殖した結果、歯肉溝は炎症を起こし歯肉の一部が赤くなったり腫れたりします。この状態が、初期の歯周病です。
歯周病が進行すると歯肉溝が深くなり、やがて歯を支える歯槽骨と呼ばれる骨が溶解。土台が溶けることで徐々に歯が動くようになり、最終的には抜歯が必要な状態まで進行します。
虫歯とは、酸によって歯を溶かされる症状のこと。ミュータンス菌と呼ばれる細菌の働きによって生じた酸が、歯を少しずつ溶かしていく症状です。
ミュータンス菌は、チョコやアメなどに含まれる糖分を好む細菌。糖分が口腔内に滞在することでミュータンス菌の働きが活発になり、歯垢の生成を促進。歯垢内に存在するミュータンス菌が酸を作り、この酸が歯を溶かしてしまいます。
なお、一度生じた虫歯は、まれに再石灰化によって治ることもありますが、通常は放置すると症状が進行します。
広島大学の二川教授が発見したL8020乳酸菌の働きのうち、もっとも有名なものが歯周病菌に対する抗菌作用。日本食品分析センターに委託された試験によると、L8020乳酸菌入りの水溶液10mlに歯周病菌を30秒触れさせたところ、存在していた歯周病菌の99.9%以上が消滅するという結果を得られました。
歯周病は日本の国民病とされています。平成23年に発表された厚生労働省の報告によると、症状の程度には差こそあれ、30代の日本人のうち約8割が歯周病に罹患しているとのこと。さらに40代、50代と年齢が進むにつれ、歯周病の罹患率はどんどん上がります。
先に説明した通り、日本人が歯を失う最大の原因が歯周病。L8020乳酸菌が持つ歯周病菌に対する働きが、日本人の健康的な歯の維持に貢献できると期待されます。
L8020乳酸菌が持つ歯周病菌への試験と並行し、日本食品分析センターでは、L8020乳酸菌が持つ虫歯菌への作用の試験も行われました。
試験の方法は歯周病菌に行った方法と同じ。L8020乳酸菌入りの水溶液10mlに虫歯菌を触れさせる、という方法です。ただし、歯周病菌の場合には30秒のみ接触させたのに対し、虫歯菌の場合には30分ほど触れさせました。
試験の結果、歯周病菌と同様に、存在していたはずの虫歯菌の99.9%以上が消滅。L8020乳酸菌には、虫歯菌にも強い作用があることが確認されました。
歯周病と虫歯は、その発生・進行メカニズムが異なります。同じ歯の病気とは言え、別々の病気であると考えてください。別々の病気であるにも関わらず、L8020乳酸菌は両者に作用をもたらしました。まさに、健康な歯のために存在している乳酸菌と言っても良いでしょう。
歯の状態と全身疾患との関連は、古くから指摘されてきました。その指摘の根拠は、噛み合わせの不具合によるもの、との説が一般的でした。
しかしながら近年、噛み合わせの問題に加えて、歯周病が全身疾患に関連しているとの学説が浮上。歯周病菌が生産するLPSという毒素が血液に乗って体内を巡ることにより、さまざまな全身疾患を誘発するとの説です。この説を裏付ける研究報告は、数々あります。
歯周病が体内を巡ることで生じる恐れのある疾患は、肝機能障害、動脈硬化、糖尿病、心臓病など。また最近は、脳梗塞や認知症など脳に関する疾患にも関与していることが指摘されています。
報告されているいずれの疾患も、進行すれば命に関わるもの。歯周病が原因で命を落とす、ということを我々一般人には想像しにくいのですが、多くの研究報告がある以上、現実と真摯に向き合うべき。脳梗塞が原因で死亡した人を詳細に検査すれば、実際には歯周病が遠因だったということが発覚することもあるでしょう。
口腔環境を健全に維持することは命を守ることでもある、と心得てください。
L8020乳酸菌研究の背景には、広島大学歯学部の二川教授のゼミに所属していた、ある学生(A氏)の存在がありました。A氏は現在、L8020乳酸菌商品の開発担当者として活躍中。L8020乳酸菌の開発ヒストリーを知るために、A氏の幼少時代までさかのぼってご紹介します。
数ある病院の診療科の中でも「ベスト・オブ・イヤイヤ病院は歯医者」と語るA氏。実はA氏は、幼いころからひどい虫歯に悩まされていました。歯科医院では「何をしても虫歯にならない人が1割、何をしても虫歯になる人が1割。あなたは後者ですね」と言われたそうです。
何をしても虫歯になる体質であったことに加え、A氏はお菓子が大好きな子供。虫歯がなくなることはなく、何度も歯科医院に通っていたそうです。
「どうして虫歯になる人と虫歯にならない人がいるのだろう?」と幼心に考えたA氏は、以来、歯に関して興味を持つようになりました。
幼い頃に抱いた歯に対する関心。その関心は高校生になっても変わらず、歯科学の名門である広島大学歯学部に入学。入学後、L8020乳酸菌が持つ歯への作用に強い興味を持ち、専門だった二川教授のゼミに入室します。
ゼミでは、主にL8020乳酸菌を使った虫歯菌、歯周病菌、カンジダ症の原因菌に対する作用を研究。これら細菌に対し、L8020乳酸菌が高い抑制効果を持つことを、日々の研究の中で実感したそうです。
幼いころの経験から「何をやっても虫歯が出来てしまう人はいる」「虫歯体質の人は痛い思いをして治療するしかない」と思い込んでいたA氏は、L8020乳酸菌の活用により虫歯体質の人の悩みを解消できると確信。卒業後は、L8020乳酸菌を使った商品開発に従事しました。
ある企業の研究部門に入職したA氏は、さっそくL8020乳酸菌の商品開発に着手。まずはベビー向けのタブレットやマウスウォッシュを試作しました。
完成した試作品を、自分だけではなく多くの社員にも配布。実際に多くの人に使ってもらい、唾液を採取して効果を数値で測定しました。
測定の結果、使用から数日~数週間程度で、高い虫歯リスクのあった人の数値が低リスクまで減少することを確認。数値のみならず、「使ったら口の中がスッキリした」「ネバネバが取れた」などの前向きな評価を多く得られました。
これらの検証を背景に「これは商品化できる」と確信したA氏。以後は実際に商品化を実現し、今や日本中の多くの人に購入してもらえるまでに至りました。
今後もL8020乳酸菌を使ったさまざまな商品を開発していきたい、とA氏はやる気にみなぎっています。
L8020乳酸菌は、偶然発見された乳酸菌ではありません。口腔環境の改善を目的に、研究者らが意図的・計画的に探し出した乳酸菌です。乳酸菌の研究への着手からL8020乳酸菌の発見、臨床試験にいたるまでのプロセスを確認してみましょう。
最初の研究は、虫歯の抑制作用がある乳酸菌のピックアップ。虫歯の罹患歴のない人たちの口の中(唾液)から42種類の乳酸菌を採取し、それらの中で虫歯の抑制作用が確認できる乳酸菌を、種類を問わずに洗い出しました。
虫歯菌の一つである「S.mutans」に対して高い抗菌性を示した乳酸菌の中から、別の虫歯菌である「S.sobirinus」と歯周病菌にも抗菌性を示す乳酸菌をピックアップ。乳酸菌の種類をL8020乳酸菌に絞り込みました。
口腔内のカビ「カンジダ菌」に対し、L8020乳酸菌が高い抗菌作用を持つことを発見。これにより、L8020乳酸菌の効果の主体は、歯垢から生じる酸ではないことが判明しました。
L8020乳酸菌を配合したヨーグルトを四国乳業にて試作。試作品を使って試験を行った結果、ヨーグルト内に存在するL8020乳酸菌も、上記と同様の働きを持つことを確認しました。
L8020乳酸菌入りのヨーグルトの作用について、ヒトを対象とした本格的な臨床試験を実施。グループAとグループBに分け、グループAに対してL8020乳酸菌入りのヨーグルトを2週間食してもらい、グループBに対してプラセボ(L8020乳酸菌が入っていないヨーグルト)を2週間食してもらいました。試験から一定期間を置いたのち、今度はAとBに逆のヨーグルトを食してもらいました。
各試験の後に各グループの被験者から唾液を採取。虫歯菌と歯周病菌に対するL8020乳酸菌入りのヨーグルトの作用を確認したところ、明らかな有意差が確認されました。
現在、L8020乳酸菌を配合した商品はたくさん販売されています。その一部を見てみましょう。
虫歯体質になるかどうかは、3歳までの生活習慣で決まると言われています。生活習慣とは、具体的に言えば母親からの虫歯菌の感染。お母さんがL8020乳酸菌で口腔ケアをすることで、大切なお子様を虫歯から守ります。
L8020乳酸菌を配合したタブレットタイプの食品。そのまま口の中で溶かすようにして摂取します。キシリトールを65%も含有するなど、L8020乳酸菌以外の歯に良い成分も豊富に含有しています。通販のほか、ドラッグストアでも入手可能。
厚生労働省や日本歯科医師会が推奨する「8020運動」(80歳で自分の歯が20本)の実現を目指して開発された商品。どこでも手軽に摂取することができるタブレット型です。味はヨーグルト風味。1日3粒を目安に摂取します。
ただし、どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。
そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?