「柿の種」や「ソフトサラダ」、「ハッピーターン」など、数多くのロングセラー商品を生み出している亀田製菓株式会社(新潟)。一般にはお菓子のメーカーの印象が強い亀田製菓ですが、実は乳酸菌食品の開発・販売にも積極的です。
ここでは、亀田製菓が開発・商品化に成功した植物性乳酸菌K-1について詳しくご紹介。お米由来のお菓子を得意とするメーカーらしく、乳酸菌K-1もお米由来の乳酸菌です。ヒトを対象とした臨床試験では、便通改善を始めとした複数の作用が確認されています。
乳酸菌K-1とは、数々のお菓子のヒット商品で知られる亀田製菓株式会社が開発・販売している植物性乳酸菌。お米に由来する乳酸菌です。米菓の開発・製造を得意とする亀田製菓らしい乳酸菌と言えるでしょう。
乳酸菌K-1の作用については、これまでヒトを対象とした臨床試験でも確認済み。この乳酸菌を摂ることでどんな効果が得られるのか、ひとつずつチェックしていきましょう。
他のさまざまな種類の乳酸菌と同様に、乳酸菌K-1にも腸内環境を改善させる働きがあることが確認されています。具体的には、便通の改善作用です。継続して摂取することにより、便の頻度や量などが改善することが、臨床試験の結果から分かっています。
女子大生を対象とした臨床試験を通じ、乳酸菌K-1を摂取することで、肌の水分量が高い状態で維持されることが分かりました。肌トラブルの原因の多くは、皮膚の乾燥。特に女性には嬉しい作用と言えるでしょう。
一般に発がん性物質を増加させることで知られる食品の「焦げ」。「焦げ」と一緒に乳酸菌K-1を摂取することで、発がん性物質(変異細胞)の数が大きく減少することが確認されています。
なお、亀田製菓では乳酸菌K-1のほかにも、乳酸菌K-2という乳酸菌も開発しています。
乳酸菌K-2とは、酒かすに由来する植物性乳酸菌。動物やヒトに対する試験を通じ、抗アレルギー作用があることが確認されています。具体的には、アトピー性皮膚炎やスギ花粉による花粉症の改善作用です。
ご存知の通り、亀田製菓が得意とする分野はお菓子の製造。乳酸菌K-1と乳酸菌K-2は食品の味にほとんど影響を与えないとのことなので、今後、乳酸菌粉末を配合したさまざまなお菓子の開発も期待されます。
お米由来の植物性乳酸菌K-1。商品化に成功した亀田製菓の研究所では、現在でも、乳酸菌K-1のさまざまな作用を証明するための研究が続けられています。
過去に行われた実験の中で確認されたのは、前述の通り「便通の改善」「肌状態の向上」「食事由来の発がん性物質の減少」の3つ。それぞれの研究成果をくわしく見ていきましょう。
便秘ぎみの方に対し、乳酸菌K1を2週間にわたり毎日1000億個摂取してもらったところ、排便日数、排便回数、排便量、便の形状が有意に変化しました。なお、実験に参加した方の「便秘ぎみ」の基準は、1週間の排便回数が4回以下としています。
この研究データが示すように、被験者における乳酸菌K-1の摂取前・摂取後の便通状況は著しく改善しています。排便日数、排便回数、排便量、いずれも2倍近い数値が得られています。良質な便と言われるバナナ状の形状をした便の出現率も、大きくアップしています。
次に、亀田製菓では、日頃から便秘ぎみの方を被験者として、乳酸菌K-1を摂取するグループとプラセボ(乳酸菌K-1未配合のもの)を摂取するグループとに分け、それぞれの排便状況の違いを確認。その結果、乳酸菌K-1摂取したグループとプラセボを摂取したグループとの間に、排便状況において有意な数値の違いが見られました。上記の研究と同様、両グループには2週間にわたり毎日乳酸菌K-1またはプラセボを摂取してもらっています。
こちらの研究データを見ても、乳酸菌K-1を摂取したグループは、プラセボを摂取したグループに比べ、大きく排便状況が変化しています。
肌の乾燥を自覚している女子大生54名を対象に、乳酸菌K-1を、6週間にわたり毎日1000億個ほど摂取してもらったところ、皮膚のバリア機能と肌理(キメ)の両方が改善しました。中には、ニキビが解消した被験者もいました。
この実験では、乳酸菌K-1が持つ肌状態への作用の有無を明確にするため、乳酸菌K-1を摂取するグループと、プラセボ(疑似食品)を摂取するグループの2つに分けて比較検証しています。
肌バリア機能を評価する基準として、亀田製菓では「経表皮水分蒸散量」を採用。乳酸菌K-1を摂取したグループは、プラセボを摂取したグループに比べ、「経表皮水分蒸散量」の抑制傾向が見られました。
データが示すとおり、乳酸菌K-1の摂取群は、プラセボ摂取群に比べ、肌のキメの状態が良好です。
上記のが画像のように、乳酸菌K-1摂取群の中には、ニキビが改善した被験者が見られました。肌の乾燥が抑制された事が要因と考えられます。
焦げ肉のみを摂取するグループと、焦げ肉+乳酸菌K-1を摂取するグループとに分け、それぞれの尿中発がん性の違いを調査。その結果、前者グループに対し、後者グループのほうが、発がんリスクが低下することが確認されました。
また、乳酸菌K-1の発がん性の抑制作用は、同乳酸菌の「生菌体」でも「加熱菌体」でも、ほとんど変わらないことも分かりました。
なお一般に、焦げ肉を食べると、尿中の発がん性が上昇する(変異細胞数が増加する)ことが知られています。
この試験の結果、焦げ肉と乳酸菌K-1を同時に摂取した被験者においては、尿中の変異細胞数が「焦げていない通常の肉」を食べた場合と、ほぼ同数になることが確認されました。
亀田製菓の研究所において乳酸菌K-1の開発に携わった研究者は、公式HPの中で次のように語っています。
K-1乳酸菌の整腸作用や食事由来の変異原性物質の除去については既に確認されていましたが、もっと新しい機能を見出そう!ということで、始まったお肌への効果の確認試験。初めてのことだらけで分からないこともたくさんありましたが、多くの方にご協力いただき肌への効果が分かった時はとても嬉しかったのを覚えています。
これからも一人でも多くの方の健康管理にお役立ていただけるよう、K-1乳酸菌のさらなる進化を目指して、研究開発に力を入れていきます。
すでに、便通の改善作用や、食事由来の発がん性物質の除去作用については確認されていたという乳酸菌K-1。新たな作用として肌の改善作用を確認したことに、開発を担当した女性研究者は喜びを隠せない様子です。
今後、美味しいお菓子を通じた健康食品が、たくさん開発・販売されることに期待したいものです。
乳酸菌K-1に関する素朴な疑問について、同社公式HPを参考にQ&A方式でお答えします。
A:乳酸菌を大きく分けると、動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の2種類があります。動物性乳酸菌とは、一般的なヨーグルトなどに含まれているタイプ。牛乳に生息している乳酸菌です。一方で植物性乳酸菌は、文字通り、植物に由来している乳酸菌。豊富な栄養がなければ生育が難しい動物性乳酸菌に対して、植物性乳酸菌は、栄養が少ない環境でも生育できると言われる強いタイプの乳酸菌です。
A:1日あたり100mgを摂取し続けることで、便通が改善したりお肌の状態がアップしたりすることが確認されています。
A:乳酸菌K-1の粉末には、「軽い甘味」と「うまみ」があります。食品に配合した場合、1日の摂取目安量程度であれば、その食品自体の味に影響は与えないと思われます。
A:基本的には、亀田製菓の公式通販サイトから注文をしていただいて購入する流れとなります。
A:亀田製菓では、2種類の乳酸菌を開発・販売しています。1つめが、こちらでご紹介してきたK-1乳酸菌。正式名称は「ラクトバチルス・カゼイK-1」と言い、お米に由来する乳酸菌です。2つめがK-2乳酸菌。正式名称は「ラクトバチルス・パラカゼイK-2」と言い、酒かす由来の乳酸菌です。
乳酸菌K-1を配合した商品をご紹介します。乳酸菌K-1を発見した亀田製菓だけではなく、すでに別のメーカーからも乳酸菌K-1配合商品は販売されているようです。
亀田製菓が製造した乳酸菌K-1配合サプリメント。1日の摂取目安量4粒の中に、玄米ごはん3杯分の豊富な栄養成分を配合。4粒中には、乳酸菌K-1が1000億個も含まれています。通信販売限定商品なので、ドラッグストア等では手に入りません。
体の中からの「艶やかな毎日」を目指し、亀田製菓が開発・製造した乳酸菌K-1配合サプリメント。1日の摂取目安量2粒の中に、約1000億個もの乳酸菌K-1を配合しています。セラミド、ヒアルロン酸、ナイアシンなどの美容成分も加え、「艶やかな毎日」をサポートします。
乳酸菌K-1が配合された「あられ」のお菓子。大袋1袋中に、乳酸菌K-1が100億個配合されています。決して配合量は多くはありませんが、サプリメントとは違って、おやつ感覚でおいしく乳酸菌K-1を摂取できる点が特徴です。独自製法による「しっとり、さくさく」の食感。
1日の摂取目安量2粒の中に200億個の乳酸菌K-1を配合したサプリメント。難消化性デキストリンやフラクトオリゴ糖も配合し、毎日の「スッキリ」をサポートします。メディセレクトは、日本のサプリメントのパイオニア的存在である日本インペックスが展開するサプリメントブランドです。
どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。
そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?