乳酸菌HSK201株は、ザワークラウト(キャベツの漬物)から分離した植物性乳酸菌。日本ルナと日本ハム株式会社 中央研究所が、2000種類以上の乳酸菌の中から選抜したものです。酸に強い性質を持つため、「生きて腸に届く」と言われている乳酸菌であり、花粉症などのアレルギー症状の緩和が期待できると言われています。この記事では、乳酸菌HSK201についてさまざまな研究データからその効果について見ていくことにしましょう。
生きて腸まで届く乳酸菌HSK201は、非常に取り扱いが容易で、さまざまなものに加工できる乳酸菌。アレルギー症状の緩和が期待できると注目されています。
ザワークラウトから抽出された乳酸菌HSK201は、「植物性乳酸菌」。この植物性乳酸菌とは、野菜などの植物を発酵させて作られるもの。植物性乳酸菌で発酵された食べ物としては、漬物やぬか床、味噌などがあります。
植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌よりも胃酸などに負けずに腸に到達する可能性が高いと言われています。
その理由は、「植物性乳酸菌は厳しい環境でも育つから」。過酷な環境でも育っていく、いわゆる“野生児”のイメージと言うとわかりやすいでしょうか。
その反面、動物性乳酸菌は、牛乳の乳糖をエサにして作られるもの。30℃から35℃ほどで保温された、衛生管理が徹底された環境で作られており、非常にデリケートと言えます。
このことから、植物性乳酸菌は全般的に生きたまま腸に到達できる可能性が高く、強い整腸作用が期待できると言われています。もちろん、乳酸菌HSK201についても同様です。
乳酸菌HSK201の特徴として、加熱された菌であるため工場での扱いも容易である点が挙げられます。そのため、加熱して加工食品に配合することも可能で、さまざまな食品として摂取することができます。
乳酸菌HSK201に関しては、非常に多くの研究が行われています。その働きについてもさまざまな報告がありますが、やはり注目したいのは「酸に強い」という特性と「アレルギー症状の緩和が期待できる」という点です。
乳酸菌HSK201は、酸に強いという特徴があるため、胃酸にも負けず、生きて腸まで届く乳酸菌です。
乳酸菌が生きて腸まで届くためには、胃液や腸液といったバリアを通過しなければいけません。 培養した乳酸菌を、人工胃液に添加し、37℃で2時間処理後の生存率を測定した結果、80%以上の高い生存率が確認されました(グラフ1)。
またHSK201株の人工腸液に対する耐性を検討したところ、人工腸液による増殖阻害を受けにくいことが確認されました(グラフ2)。
胃液や腸液に対し、非常に高い生存率を示すことがわかっている乳酸菌HSK201ですが、生きた状態のまま腸に到着した後には、腸の細胞に付着して止まることができるのも特徴。日本ルナによる、「ヒト腸管上皮細胞」を使用した乳酸菌HSK201の付着効果を検証する試験においては、しっかりと腸管上皮細胞に付着していることを示す画像が撮影されています。
この画像では、赤い部分が腸管上皮細胞を示し、青い部分が乳酸菌HSK201株を示しています。画像からはしっかりと腸管上皮細胞に付着していることがわかります。
近年急激に増えている花粉症患者。また、そのほかのアレルギー症状についても、白血球の一つである「ヘルパーT細胞」とのバランスが大きく関連していると言われています。
ヘルパーT細胞は、「1型(Th1)」と「2型(Th2)」に分類されており、互いにバランスを保っていますが、2型が優位になることでバランスが崩れてしまい、アレルギーと関連性のある「IgE(※1)」が増え、症状が出てくるというメカニズムになっています。
この2つのヘルパーT細胞のバランスにおいて、日本ルナでは2000株以上の乳酸菌を使用して試験を行っています。その試験では、乳酸菌HSK201がアレルギー症状の緩和について有用である、という結果が報告されています。
乳酸菌のTh1とTh2のバランス改善作用についてマウスの細胞を用いて調べたところ、HSK201株が高い抗アレルギー効果をもっていることがわかりました。
さらにHSK201株をアレルギーモデルマウスに摂取させて、血清中のIgE値を調べましたところ、HSK201株摂取群のマウスでは抑制していることがわかりました。
さらに同社では、花粉症の症状が乳酸菌HSK201によって緩和されるかどうかを調べるため、花粉症患者19人を対象とした検証試験を行っており、その内容は「第38回日本免疫学会」にて発表されています。
試験期間中は、HSK201株含有乳酸菌飲料(170mL/日)または乳酸菌非含有乳飲料(プラセボ)を摂取する2グループに分け、それぞれ8週間摂取してもらったところ、HSK201株含有乳酸菌飲料摂取群では、プラセボ群と比較して、自覚症状の改善効果が確認されました。特に、くしゃみ、鼻水、眼の痒み、涙目の症状で顕著な緩和効果がみられました。(グラフのスコアが高いほど、症状が重いことを示しています)
この実験では、顕著な自覚症状の緩和が見られ、スギ特異的IgEの値については、プラセボ群では花粉の飛散が増えるにつれて増加。しかし、乳酸菌HSK201を含有した乳酸菌飲料を摂取したグループでは、スギ特異的IgEの増加抑制が見られました。また、ヘルパーT細胞においても、1型と2型のバランスが改善されたことも確認されています。
このことから乳酸菌HSK201を摂取することにより、花粉症の症状を緩和する効果が期待できると言えるでしょう。
※1 「IgE」とは、体の中に侵入してきたアレルギーの原因物質に対して働きかけ、体を守る機能を持つ抗体のこと
どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。
もちろん、ここで紹介した乳酸菌HSK201についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。
世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
先に説明している通り、乳酸菌HSK201はキャベツの漬物であるザワークラウトから分離することで開発された乳酸菌です。そのため、非常に安心・安全であると言われています。
日本ハム中央研究所と日本ルナが共同で開発した植物性乳酸菌。この乳酸菌は、日本ルナ株式会社が製造しているスムージーや乳酸菌飲料などに活用され、販売されています。
また、飲むタイプの製品以外に、タブレットタイプの商品も販売されており、花粉症やアレルギー症状で悩んでいる人などにオススメと言われています。毎日続けられるようにヨーグルト味にするなど、摂取しやすい工夫がされているため、非常に取り入れやすいと言えます。
乳酸菌HSK201の特徴として、加熱殺菌されているために工場での取り扱いが容易ということが挙げられます。そのため、上記に挙げた商品の他にも、キャンディーやレトルト食品など、加工加熱を必要とする食品に多く採用されています。「生きて腸まで届く」という乳酸菌HSK201の特性を活かすべく、現在も研究が行われています。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?