乳酸菌の一つであるHK L-137は、免疫力の向上に威力を発揮しますると言われています。元々「なれずし」から発見されたL-137を、ハウスウェルネスフーズが研究。加熱処理することにより生み出されたのが「乳酸菌HK L-137」です。免疫力アップやそれに伴う生活の質の向上が期待できるほか、動物の飼料としても活用されているものです。
乳酸菌L-137は、東南アジアに伝わっている発酵保存食品“なれずし”から発見された乳酸菌です。このL-137を加熱処理したものが「乳酸菌HK L-137。免疫力を高める力が強いと言われており、健康分野において注目を集めています。
乳酸菌には、「お腹の調子を整える」というイメージを持つ人が多くいますが、乳酸菌HK L-137は免疫力アップに威力を発揮してくれる乳酸菌です。
人間の体の中で“最大の免疫器官”と呼ばれる小腸ですが、乳酸菌HK L-137が小腸に届くと、免疫組織に取り込まれることで免疫細胞を刺激。その結果、免疫力が高まるのです。
そのため、小腸で免疫力アップの力を最大限に発揮するためには、免疫力を高める力を持ったままで小腸まで届く必要があると言えます。
なれずしから発見されたL-137は、加熱処理をすることにより免疫を高める力がアップするという特徴があります。この加熱処理により、小腸に届くまでその力を保つことができます。加熱処理された、L-137は、「HK L-137」と呼ばれています。
乳酸菌HK-L137は、免疫力アップをはじめとするさまざまな効果が報告されています。実際に行われている研究データや報告をもとに、その内容を見ていきましょう。
乳酸菌HK L-137は、体内の免疫細胞に取り込まれると、その細胞の働きを活性化させることが報告されており、風邪を予防するなどの効果が臨床試験で確認されています。
ハウス食品グループ本社とハウスウェルネスフーズが、九州大学生体防御医学研究所の吉開泰信教授の協力を得て行った研究をご紹介します。免疫細胞のどのような受容体が、乳酸菌HK L-137やリポテイコ酸との結合や、インターロイキン12の誘導に関わっているかを調べた内容になります。
免疫細胞のある種の受容体をあらかじめブロックして、HK L-137との結合を阻害するとインターロイキン12を誘導する能力が著しく低下し、標準株(加熱処理された類似の乳酸菌)と同程度となりました。同様に、HK L-137の免疫細胞への取り込みも有意に減少し、標準株と同程度になりました。
一方、HK L-137のリポテイコ酸をあらかじめブロックしておくと、インターロイキン12を誘導する能力や免疫細胞への取り込みが減少することも確認しました。
引用元:ハウス食品グループ本社株式会社「乳酸菌『HK L-137』が、免疫機能を強く活性化する メカニズムを解明」(pdf)
乳酸菌HK L-137が高い免疫力を発揮することに関して、非常に重要な要素となるのが「リポテイコ酸」という成分。これは菌の細胞壁にある成分ですが、乳酸菌HK L-137は他の乳酸菌よりも多く細胞壁の外に伸びています。この特徴が強い免疫力に繋がっていると考えられています。
ハウスウェルネスフーズ「乳酸菌L-137研究所レポート」では、乳酸菌L-137が免疫を高めるということについて言及されています。
腸には多くの免疫細胞が集まり、最大の免疫器官といわれている。特に小腸は特別な免疫組織が発達していて、消化物にまぎれて外敵がいないか耐えず監視している。
HK L-137を口から摂取するとこの免疫組織に取り込まれ、マクロファージや樹状細胞といった免疫細胞に捕食される。
HK L-137を捕食した免疫細胞はこれを消化して、その成分を解析し、免疫を高めるよう命令するシグナル物質を放出する。このシグナル物質がウイルスや細菌の感染防御に際して中心的に働く免疫細胞を活性化することで、全身の免疫力を上げられると考えられる。
生きた乳酸菌の力は、状態によって大きく低下してしまいます。この問題を解決するために、ハウスウェルネスフーズ開発研究所では、免疫賦活脳が最も高い時点で加熱処理を行い、活性の高い状態を保持することができる「HK製法」を開発しました。
乳酸菌HK L-137は、生きた乳酸菌L-137株をあえて加熱処理しています。こうすることで、胃酸や腸の消化液の影響を受けにくくなることが分かってきたからです。乳酸菌HK L-137は加熱処理をすることで安定化するのです。
また、乳酸菌HK L-137には歯周病にも関わってきます。下記では、歯周病の治療中に乳酸菌HK L-137を摂取することで歯周病を改善する作用も期待できるということが報告されています。
歯肉に炎症が起きると歯周ポケットが深くなり、これが4mmを超えると歯周病と診断されます。歯を失う大きな原因であるばかりでなく、糖尿病、心臓病、肺炎など様々な病気のリスクを高める歯周病。その発症や進行には免疫が密接に関係していることが分かっており、免疫力が低下すると、治りが悪くなったり悪化したりします。歯周病の積極的治療が完了し、歯垢を取り除く等の定期メンテナンス(治療中)の、4mm以上の歯周ポケットを有する慢性歯周炎の方を対象にヒト臨床試験を行った結果、乳酸菌L-137を摂取した方には、歯周ポケットが浅くなったことが認められました。
乳酸菌HK L-137の免疫力を高める作用により、体調の改善や、生活の質の向上が期待できます。免疫力が低下すると、普段は免疫力によって抑えられている病原体が悪さをするようになり、さまざまな不調で悩まされることにつながります。
しかし、健康な人60人に対して行った試験によると、乳酸菌L-137を摂取することによって体調と生活の質が改善したという報告があります。
健康な人60名を対象に、乳酸菌L-137を摂る人(乳酸菌L-137)と摂らない人(対照)に分けて体調に関するアンケートを実施しました。すると、乳酸菌L-137を摂った人たち(乳酸菌L-137)では、乳酸菌摂取により体調(QOL)が改善した、という結果が得られました。
このL-137は、お寿司のルーツである「なれずし」から発見されました。この「なれずし」は、東南アジアの伝統的な発酵保存食で、魚とご飯を乳酸菌で発行させたものです。稲作とともに日本に伝わったことで、現在多くの人に好まれているお寿司のルーツになったともいわれています。
さらにハウスウェルネスフーズでは、1994年から乳酸菌L-137株が持つ性質に注目して研究をスタートさせています。研究を進めるうちに、菌の力は加熱により安定化することが判明。最適な培養条件や加熱処理の条件を検討し、乳酸菌L-137を加熱した「乳酸菌HK L-137」が誕生したのです。
また、乳酸菌HK L-137は人間以外の動物にも良いはずだと考えられており、地区水産飼料向けの展開もスタートしています。現在は、ニワトリ・豚・エビの飼料として使用されています。動物の生育に及ぼす影響としては、秋田県畜産試験場とハウスウェルネスフーズの共同研究による報告もなされています。
乳酸菌Lactobacillus plantarum L-137株の加熱菌体(HK L-137)給与が比内地鶏の発育および生産性に及ぼす影響について検討した.
試験1ではHK L-137を112日齢まで2mg/kg, 試験2では28日齢まで10mg/kg, 112日齢まで2mg/kg添加した飼料を給与し,161日齢まで飼養した.
HK L-137添加区は両試験において対照区より112日齢の体重が有意に優れ,161日齢体重,0-161日齢平均日増体重および飼料要求率が優れる傾向を示した.経済性においても HK L-137添加区は対照区より生産指数が優れ,1羽当たりの粗収益が約65円増加した.
また,HK L-137区は112日齢において脾臓のIFN-γ遺伝子の発 現強度が対照区より高い傾向を示した.以上の結果から,HK L-137は比内地鶏の増体を促進し,生産性を 改善することが示唆された.
どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。
もちろん、ここで紹介した乳酸菌HK L-137についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。
世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?