まず、どんな種類の乳酸菌が含まれているかは、商品のパッケージを確認するのがよいでしょう。なかでも特定保健用品に指定されている商品であれば、菌の種類も必ず表示されています。消費者庁が指定した特定保健用品には、含まれている菌の種類などを表示する義務があるからです。
乳酸菌選びに迷ったら、特定保健用品になっているものの中から見つけるのもおすすめです。
乳酸菌の正式な名称は「属・種・株」という3つの組み合わせで書かれます。たとえばヤクルト菌シロタ株なら「属…ラクトバチルス」「種…カゼイン」「株…シロタ株」とになります。
乳酸菌は、大きく分けると3つの種類があります。
これらの乳酸菌には、種類によって異なる効能・作用があります。自分の求める効果がある菌を選ぶ目安にしてください。
さらに、この3つの乳酸菌に動物由来と植物由来のものがあります。
動物由来は主にヨーグルトなどの発酵乳から採取されたもの、植物由来は漬物や植物の表面などから採取されたものです。どちらが自分に合うかは試してみないとわかりませんが、もし乳製品のアレルギーがあるなら、植物由来のものから選びましょう。逆も同様です。
なお、摂るべき菌の選び方に関しては、腸内細菌の専門家・藤田紘一郎先生にお話しをうかがってみたので、こちらで紹介させて頂きます。
長年にわたり腸内細菌について研究を続けている、東京医科歯科大学名誉教授・藤田紘一郎先生に、乳酸菌に関する質問をぶつけてみました。いわば乳酸菌のエキスパートである先生のアドバイスを、ぜひ参考にしてみてください!
藤田紘一郎先生
東京医科歯科大学名誉教授であり、寄生虫学、感染免疫学、熱帯医学を専門とする医学博士。自身の腸内で15年間にわたってサナダムシを飼育したという経験を持ち、公衆衛生や腸内環境に関する多数の著書を執筆しています。
人間の腸内細菌の種類は、その人が育った環境によって違います。それは生まれて一年半で形成されてきます。それ以降、外からの菌を摂取しても、腸に定着することはむずかしいのです。
ヨーグルトなどから生きた乳酸菌を摂取しても、多くの菌は胃酸で殺され、生きた状態で腸まで届きません。中には胃酸に強く、腸まで生きて届くような菌もいますが、腸まで生きて届いたからといって、私たちの腸にそのまま棲みつくわけではありません。そのほとんどは便として排泄されてしまいます。しかし、素通りしてしまうから無意味というわけではありません。胃酸で殺された死菌は、免疫の活性化に関わったり、また生きて通過していく際に、その菌特有の働きをしながら、さまざまな保健効果を発揮していきます。
ある研究では摂った菌と同じような菌がいないと定着しやすく、同じような菌がすでに棲みついているとまったく定着しないという報告があります。そのため誰が摂取しても定着していくというものはなく、自分の腸にいないタイプの菌を探すしかないのです。しかも自分にいないタイプの菌だからといって、それが定着するとは限りません。
一番いいのは、1歳半までに形成された自分の腸内細菌を大事に大事に育むことです。その点で言えば「乳酸菌生成エキス」は、特別な成分です。特定の菌を摂るわけでなく、自分のもともと棲みついている腸内細菌に働きかけます。これはたくさんの乳酸菌を混合培養して腸管免疫や腸内細菌に働きかける因子を生成したものだから、誰が摂っても効果を期待できます。
上記の記事で藤田先生が説明している通り、相性の良い菌というのはひとりひとり異なり、実際に摂取してみないとわかりません。しばらく飲んでみて、調子が良くなったと感じたら「相性の良い菌」ですし、何も変化が無かったら「相性が良くない菌」だったということです。
しかし、1度や2度飲んだだけでは、その菌が自分に合っているかどうかはわかりません。自分にピッタリの菌を探すためには、最低でも1ヶ月くらいは継続して摂取してみて、気長に体調の変化を感じ取ってみてください。
なお、変化として最も表れやすいのは、便(うんち)です。便の頻度や量、形状、水分の含有率、色、ニオイなど、注意深く観察してみてください。うんちの好ましい状態は、バナナ型で臭いが強くなく、黄土色か茶色のものとされています。
世の中に存在する乳酸菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。それこそ、一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば、さきほどの記事で藤田先生がオススメしている「乳酸菌生成エキス」という成分。これは、最初から自分の腸内にある乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
乳酸菌生成エキスをはじめとする乳酸菌サプリをチェックしたい方は、下記のページを参考にしてみてください。
また、サプリメントを選ぶ上で忘れずに抑えておきたいのが続けやすさです。「続けやすさ」というと、つい味やサプリメントの形状、または粒の大きさ(飲みやすさ)が気になってしまいますが、実はもうひとつ大事なことがあります。それは価格です。自分に合った菌のサプリだとわかった場合、その後も長期的に飲み続けていくことになるはずです。あらかじめ、いくらまでなら出せるのかを決めておき、無理なく購入し続けられるものを選ぶのがおすすめです。
ちなみに、「ヨーグルトは買い置きが無かったりして続かなかった」という声を口コミで多く目にしますが、サプリメントは日持ちするためストックしておきやすい上に、保存環境やスペースの心配もいりません。メーカーの公式サイトでは定期購入コースが用意されていることも多いので、入手性に関してはどれを選んでも問題ないでしょう。
あとは口コミなどを参考にして比較検討したり、配送方法や受け取り方法が自分の生活パターンのなかで負担にならないか、といったところもチェックしておくと良いでしょう。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?