種類やはたらきが丸わかり! 家族のための乳酸菌大辞典

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ブレーベ・ヤクルト菌

ブレーベ・ヤクルト菌とは、「B.ブレーベ・ヤクルト株」という菌名のビフィズス菌の一種です。ヤクルトが強化培養に成功した乳酸菌で、「L.カゼイ・シロタ株」に並ぶヤクルト社の代表株というべき存在です。

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ブレーベ・ヤクルト菌はビフィズス菌の一種

ビフィズス菌とは

ビフィズス菌とは、1899年にフランスのパスツール研究所付属病院にて、小児科医アンリ・ティシエによって発見された菌です。ビフィズス菌は母乳栄養児の便から発見されましたが、それには母乳栄養児と人工乳栄養児に健康状態の差があることが問題視されていたという背景がありました。当時、母乳栄養児に比べて人工乳栄養児のほうが疾患にかかりやすいということが知られていましたが、ティシエはビフィズス菌が母乳栄養児の便から多く検出されることを発見し、ここに母乳栄養児と人工乳栄養児との健康差があると考えたのです。

ビフィズス菌は乳酸菌の一種と言われることがよくありますが、分類としては全く異なる菌です。しかし、乳酸菌と同じく乳酸を産生することや、人の健康に役立つ菌であることなどから、乳酸菌の仲間というイメージが強く根付いています。乳酸菌との大きな差は、酸素に弱いという点です。そのため、酸素のほとんどない大腸に多く存在し、大腸内で人々の健康に役立っています。

ブレーベ・ヤクルト菌が使用されている商品である「ミルミルシリーズ」は、そういった酸素を嫌う特徴を持つビフィズス菌を守るため、容器を外気の影響を受けない特殊な構造にするなどの工夫を凝らしています。

ビフィズス菌のからだへの効果

ティシエがビフィズス菌を発見したころ、人工乳栄養児の死亡率が母乳栄養児に比べてとても高くなっていました。現在では衛生環境・栄養状態の向上にあわせて医療技術も進歩したこともあり、人工乳栄養児でも死亡率が変わらなくなってきています。しかし、乳児の腸内細菌を調べると、人工乳栄養児は母乳栄養児に比べてビフィズス菌が少ないなど、腸内細菌バランスが異なっていることがわかっています。また、乳幼児のアレルギー発症と腸内環境のかかわりも明らかにされています。そのうちビフィズス菌が少ない状態で育った赤ちゃんはアレルギーが発症する確率が高いという報告もあり、出生後にビフィズス菌を早く腸内に定着させることが重要視されているのです。また、ビフィズス菌が大切なのは赤ちゃんだけではありません。成人においても病気と腸内環境の関係について研究が進められており、上述していた潰瘍性大腸炎患者に対しての実験結果などからもわかる通り、健康な人の腸内にはよりたくさんのビフィズス菌が存在しています。このことから、人の健康にはビフィズス菌が大きくかかわっていると言えるでしょう。

ブレーベ・ヤクルト菌の効果

整腸作用

一般的なビフィズス菌は、口から摂取して腸に到達するまでに死滅することがほとんどだと言われています。しかしブレーベ・ヤクルト菌は、生きたまま腸内に到達するように強化培養された菌です。ブレーベ・ヤクルト菌は腸内を弱酸性にして善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす働きがあります。また、ブレーベ・ヤクルト菌が作りだす乳酸と酢酸には、便の質の改善や食中毒の原因になる菌の増殖を防ぐという働きもあるとされています。ヤクルトの看板商品である“ヤクルト”に含まれる「L.カゼイ・シロタ株」が主に小腸で働くのに対して、ブレーベ・ヤクルト菌は大腸に作用することが分かっています。このため、ヤクルト本社では両方の菌を習慣的に摂取することを推奨しているのです。

美肌効果

ブレーベ・ヤクルト菌には、皮膚の乾燥を抑えて肌を美しい状態に導く作用が認められています。秋から冬の空気が乾燥しやすい時期に、ブレーベ・ヤクルト菌発酵乳を1日に100ml、4週間続けて毎日飲む実験がおこなわれました。そして、飲んでいた人たちと、飲んでいなかった人たちの皮膚の水分量を比べたところ、飲まなかったグループでは空気の乾燥により肌の水分量が低下したことに対し、飲んでいたグループでは水分量に変化がなく、皮膚を活性化する酵素の量が増えたという結果になりました。空気中の水分が減っている時期においても、肌に水分を蓄えられているということが分かります。そのため、ブレーベ・ヤクルト菌を日常的にとりいれることで、乾燥小じわなどが抑えられ、きれいな肌になる効果が期待できます。また、ブレーベ・ヤクルト菌の整腸作用により、腸内の腐敗産物が減少することもわかっていることから、皮膚から出る毒素も減少し、肌トラブルを起こしにくい皮膚を目指すことが可能です。

潰瘍性大腸炎の症状の抑制

ブレーベ・ヤクルト菌の効果として、さらに潰瘍性大腸炎の症状抑制も挙げられます。潰瘍性大腸炎とは、血便や下痢や腹痛などの症状が起こり、20歳代から30歳代に発症することの多い難しい病気です。潰瘍性大腸炎にかかっている患者にブレーベ・ヤクルト菌を継続して摂取してもらう実験をおこなったところ、症状を抑制する作用があることが分かりました。

ビフィズス菌 B.ブレーベ・ヤクルト株は、潰瘍性大腸炎の症状を軽減する働きがある。潰瘍性大腸炎とは、血便や下痢、腹痛、発熱などの症状を示し、20 ~ 30 歳代に発症する事が多い難病である。原因は免疫応答の異常と考えられており、遺伝的要因に腸内細菌などの環境因子が加わり炎症を起こして症状が現れる。B.ブレーベ・ヤクルト株を潰瘍性大腸炎患者に継続飲用させる実験で、1 日 3 包(1 包には 10 億個以上を含む)とガラクトオリゴ糖液等 5.5g/ 日を 1 年間飲用した結果、内視鏡所見が改善し、炎症の指標となるミエロペルオキシターゼ量が減少。糞便細菌叢に占めるバクテロイデスの減少と糞便 pH の低下がみられ、症状を軽減した。乳酸菌やビフィズス菌を上手に利用して腸内環境を整える事は、私たちの健康維持に大いに役立つ事がよく分かった。お勧めの飲用方法は、効果の出方は個人によるため、4 週間くらいは同じものを飲み続ける事。免疫 UP にはシロタ株、潰瘍性大腸炎のような炎症を意識するなら B.ブレーベ・ヤクルト株という様に選ぶとよいとの事である。

引用元:平成 26 年度健康づくり提唱のつどい 講演Ⅰ「腸内フローラと免疫」|公益財団法人大阪府栄養士会(PDF)

ブレーベ・ヤクルト菌は、ヤクルトなどに含まれるL.カゼイ・シロタ株と一緒に摂取することで、潰瘍性大腸炎などの炎症症状を改善させたり、免疫機能を高めたりする効果が期待できます。

ブレーベ・ヤクルト菌に関するニュース

医療現場でビフィズス菌BY株(B.ブレーベ・ヤクルト株)の有用性が明らかに

2017年7月のヤクルト本社のニュースリリースにて、ブレーベ・ヤクルト菌が小児の外科疾患患児における周術期(手術の術前・術中・術後を含めた期間)の感染症抑制や、腸内フローラの乱れの抑制、菌血症の予防につながるということを発表しました。菌血症とは血液中に細菌が入り込んでいる状態を指す疾患で、病原となっている菌の増殖が進むことにより敗血症になることもある恐ろしい病気です。

小児外科疾患患児は周術期において、血流に細菌が存在する状態、いわゆる菌血症を高頻度で発症することが本研究において初めて明らかとなりました。血液より検出された菌群は腸内フローラを構成する菌群に属するものでした。さらに、B.ブレーベ・ヤクルト株を継続的に摂取することで、周術期感染症が抑制されること、腸内フローラや腸内環境の乱れが改善されること、および血液からの細菌の検出が著しく抑えられることが、無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験*によって明確になりました。周術期の患児において、腸内細菌の血液中への移行(バクテリアルトランスロケーション)がB.ブレーベ・ヤクルト株の摂取により強く抑制されたことから、B.ブレーベ・ヤクルト株の継続摂取による周術期感染症予防のメカニズムの一つとして、腸内細菌の血液中への移行を抑制することが重要であると推察されます。

引用元:小児の外科手術入院患者の周術期感染症予防におけるB.ブレーベ・ヤクルト株の有用性を証明|ヤクルト株式会社ヤクルト本社(PDF)

医療現場においてもプロバイオティクスの有効性があることを表しており、順天堂大学浦安病院小児外科の岡崎任晴先任准教授は以下のようにコメントしています。

今回のスタディは小児外科領域におけるプロバイオティクスの有用性を初めて検討したもので、周術期における良好な腸内環境の維持と術後感染症の予防に、ビフィズス菌「B.ブレーベ・ヤクルト株」の摂取が有効であることが示されました。また、B.ブレーベ・ヤクルト株非摂取群では周術期において高頻度に血液中に腸内フローラを構成する菌が検出され、多くの症例で菌血症の状態にあることも初めて明らかになり、これはきわめて重要な結果です。周術期のB.ブレーベ・ヤクルト株摂取は、良好な腸内環境を維持し、バクテリアルトランスロケーションの抑制を介して術後感染症を予防していると考えられます。また、本試験期間中に、B.ブレーベ・ヤクルト株の投与による有害事象は全く認められませんでした。今後、小児外科領域の臨床において、安全なプロバイオティクスを導入することで術後合併症の減少に繋がれば、患児のQOLの改善や在院日数の短縮が期待され、小児医療の進歩のみならず、医療経済にも貢献できるものと思われます。さらなる症例の蓄積と詳細なメカニズムの解明が進められることを期待します。

引用元:小児の外科手術入院患者の周術期感染症予防におけるB.ブレーベ・ヤクルト株の有用性を証明|ヤクルト株式会社ヤクルト本社(PDF)

上記の通り、医療の現場においても有害といえる現象が全く認められなかったとされ、患者の健康にしっかりと役立っていることがわかります。

ブレーベ・ヤクルト菌を配合した商品

ミルミル/ミルミルS

ミルミルは、ブレーベ・ヤクルト菌を1本(100ml)に120億個以上含んだ「のむヨーグルト」です。酸素を嫌う性質を持っているビフィズス菌を守ってしっかりと生きたまま大腸に届けるために、空気が入らず外部の影響を受けにくい特別な容器を使用しています。ほどよい甘さですっきりとした後味で、ヤクルトと比べると酸味よりもミルク感のある味わいを感じることができます。ミルミルSは、従来のミルミルにガラクトオリゴ糖を1.0g、食物繊維を3.1g含み、さらにコラーゲン、鉄、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸をプラスした女性に特にうれしい飲み物。こちらはすっきりとしたヨーグルト味です。

ミルミルからビフィーネM、そしてまたミルミルへ

ミルミルは1978年に登場した後、2005年に一度販売が中止されています。ミルミルの特徴などはビフィーネMという商品に引き継がれていましたが、しばらくして2010年、もう一度ミルミルとして復活したというヒストリーを持っています。そしてミルミルが復活してからまた少し月日がたった2016年、これまで100億個以上だったブレーベ・ヤクルト菌の含有量が、120億個以上へとアップしました。「生きたまま大腸へ届く」という特徴がさらに強調されており、小腸へ効くヤクルトの「乳酸菌シロタ株」と併せて飲むこともおすすめされています。

自分に合った菌を摂取することが重要

どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。

そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!

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参照元

  1. 研究所の主な成果 - ヤクルト中央研究所:https://institute.yakult.co.jp/about/history/
  2. 河見 浩司郎氏「講演Ⅰ「腸内フローラと免疫」」:http://www.osaka-eiyoushikai.or.jp/iryou/pdf/iryou_19.pdf(PDF)
  3. 株式会社ヤクルト本社「SCIENCE REPORY NO.9」:https://www.yakult.co.jp/institute/report/pdf/science_No9.pdf(PDF)
  4. 一般社団法人 日本サプリメント協会「ブレーベ菌(ヤクルト)」:https://www.j-supplements.com/probiotics/breve-yakult/

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管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

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