BE80株はフランスのダノン社が独自に開発したビフィズス菌株で、正式な名前はビフィドバクテリウム(属)・アニマリス亜種ラクティス(種)BE80株といい、ダノンビオのヨーグルトに使われています。
BE80株酸に強く、ほかのビフィズス菌に比べても生命力のある菌として知られており、食べ物が腸管を通過する時間が短縮され、食後の膨満感を改善する効果があります。
食後の不快な膨張感は、腸の中で多くなった悪玉菌が食べ物を分解するさいにガスを出すためですが、BE80株により腸内細菌のバランスが整うと膨満感が改善されると考えられています。
コマーシャルでもよく耳にする「高生存」は「生きたまま腸まで届く」ことを言います。
BE80株は他のビフィズス菌と比べても生存率が高く、賞味期限になっても菌が減少しません。
普通のヨーグルトは工場で出荷された時の菌数は多くても出荷後、菌数が徐々に減少してしまいますが、14日間保存した市販ヨーグルトとBE80株入りのヨーグルトを比較したところ、食べてから90分後の胃での菌の生存率が1万倍も違ったというデータがダノンの実験で明らかにされているそうです。
食べ物を食べてから排泄されるまでは、個人差がありますが健康な人で24~48時間はかかると言われますが、女性は男性より腸が長く、高齢者は腸の運動能力が弱まるため、便秘がちになります。
そんな女性と高齢者に2週間、BE80株入りのヨーグルトを食べて消化後食物の腸管通過時間を調べたところ短縮されたことが実証され、被験者の中には半分近くの時間に短縮されたケースもあったそうです。
さらにもうひとつの食後の膨満感の軽減効果の研究では、便秘傾向の女性を対象にBE80株入りのヨーグルトを毎日250g、4週間にわたって食べてもらったところ、食後の腹部増大幅が6cmから1.5cmに減少したという結果が得られています。このことからBE80株が腸内の悪玉菌を減少させタンパク質の腐敗によるガスの発生が抑えられたものと考えられています。
BE80株は腸内フローラを良くしたいという方、そして特に便秘傾向で食後の腹部膨満感に苦しむ方にはおすすめのビフィズス菌といえそうです。
肥満傾向にある人は、健康な人に比べると短鎖脂肪酸を作り出す菌が少ないことから、BE80株を摂取することで腸内で作り出す酸(短鎖脂肪酸)が増え、血液中に脂肪が取り込まれることを阻害するそうです。
動脈硬化の原因となるコレステロールを体内で吸収し体外に排出させるためコレステロールの低下に効果があるそうです。
BE80株が善玉菌の働きを活発にして悪玉菌の増殖を抑えることから腸内環境が整い便秘や下痢などの症状が改善される効果があるそうです。
食事をとるとお腹が張りやすくガスがたまってお腹のふくらみがおこる過敏性腸症候群ではBE80株が善玉菌の働きを活発にし悪玉菌が減るのでお腹の膨張が減少しているという結果になったそうです。
[注1]BE80株が善玉菌の働きを活発にして増殖し腸内の免疫システムが活性化するのでアレルギー疾患を抑制したり花粉症の要因となる抗体を低下させるためアレルギー抑制効果があるそうです。
どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。
もちろん、ここで紹介したBE80株についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。
世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
現在のデータはヨーロッパでの研究データなので、体質の合わない方もいるかもしれません。実は欧米人のほとんどは乳糖を分解するラクターゼという分解酵素を持っているのですが、日本人の場合はこのラクターゼという分解酵素を持っていない人がほとんどだと言われているのです。そのため摂取した乳製品のカルシウムが吸収できないだけでなく、他の食品から摂取したカルシウムまでも体外へ排泄してしまう場合があります。
効果もあり評判が高いダノンビオですが、すべての人に合っているとは限りません。
腸内環境改善のために乳酸菌をとる場合、自分の気になる症状に合った乳酸菌を選び他の食事とのバランスや組み合わせにも気を付けたいですね。
フランスのダノン社が発見し、商品化に成功したビフィズス菌 BE80株。ここでは、ダノン社におけるビフィズス菌の研究の歴史を、時系列に沿ってご紹介します。
ダノン社がビフィズス菌入りのヨーグルトの製造を目指し、研究をスタートさせたのが1980年代。チームで研究を重ね、1985年、生乳の中で増殖する能力を持つBifidobacteria株を発見しました。これこそ、のちにBE80菌として知られることになる菌株だったのです。
翌年、ダノン社はこの菌株の増殖に着手。ダノン社独自の4種類の菌を組み合わせることによりBE80の量産化に成功し、1987年にはフランスとベルギーの2カ国でBE80を含んだヨーグルト「ビオ」の製造・販売をスタートさせました。
今でこそ「生きたまま腸まで届く」ことを売りにするBE80ですが、1980年代の「ビオ」発売当時は、BE80の消化管における耐性ははっきりわかっていませんでした。
そこで、ダノン社は、胃や腸におけるBE80の生存率を研究。その結果、消化管におけるBE80の並外れた生存率を発見するにいたります。1991年、この発見は論文にまとめられて国際的な学会で発表されました。
2000年代に入ると、ダノン社はBE80や、ヨーグルト「ビオ」の効果に関する数々の臨床試験をスタートさせました。2001年に発表されたBE80の臨床試験に関する論文を皮切りに、2002年には「ビオ」の作用に関する論文を、2007年には「ビオ」が過敏性腸症候群の改善に効果的である論文を発表。さらに2009年、お腹の不快感に関連する「ビオ」の作用について、3本の論文を発表しました。
2011年、ダノン社はBE80のDNA遺伝子情報を公表。また同年、「ビオ」による腸内細菌叢への影響について臨床試験を行っています。
2013年には、「ビオ」のようなプロバイオティクス(腸などに良い働きをもたらす微生物)を健常人が摂取した際の影響について、2つの臨床試験を統合した論文を発表しました。
開発当初のBE80の課題は、商品化に向けた効率的な菌株の増殖でした。当時のヨーグルトは43℃の酸性の環境下で発酵させることが一般的でしたが、BE80にとって43℃は温かすぎて、増殖には向いていなかったのです。
そこで、ダノン社はBE80の効率的な増殖環境に関する研究に着手。数年にわたる研究の末、Streptococcus thermophilus菌と2種類のLactobacillus bulgaricus菌をBE80に混合させ、かつ発酵温度を低めの37℃に設定することで、BE80を効率的に増殖させることに成功しました。
この環境で発酵させたヨーグルトは「ビオ」特有のマイルドな味と、クリーミーな舌触りも生み出します。つまり、BE80の効率的な増殖と、多くの人に受け入れられる「おいしい味」を同時に実現したというわけですね。
2018年現在、ダノン社の「ビオ」は、世界5大陸で販売されている国際的なヒット商品。もちろん、日本人にもおなじみのヨーグルトです。ここでは、日本工場で「ビオ」の開発と研究に従事している、同社の西田研究員からのメッセージをご紹介します。
ダノン・ビオは、1980年代の開発当初から「健康に良い食品を多くの人に届けたい」という思いの中で進化してきたヨーグルト。そのため、単に美味しさを実感してもらうたけでなく、健康に良い商品であることを消費者の皆さんに理解してもらったうえで食べてもらいたい、という思いがあるそうです。
この思いを言葉で伝えるために、機能性表示食品として「おなかの不快感をやわらげる」機能をパッケージに記載しています。
ダノン「ビオ」は、現在、世界中で同じ成分・同じ製法で作られていますが、日本で販売されている「ビオ」は、日本の工場で作られています。その理由は、第一に、少しでもフレッシュな状態で商品をお届けしたいから。第二に、日本人好みの味に仕上げることができるから、とのこと。
また、日本の食文化に合わせて、はつみつジンジャーやスイカ、さくらなど、四季の変化に合わせて日本独自のフレーバーも開発・発売。季節を感じられる「日本ならでは」のおいしさも追求しているそうです。
BE80株入りのヨーグルトだけでも効果は十分ですが摂取を習慣づけ長続きさせる工夫も必要です。
ビタミンの豊富な果物との組み合わせですが、おすすめはバナナとリンゴ。バナナは1本が約86kcalと低カロリーで、食物繊維が豊富。リンゴは、整腸効果や血液をサラサラにする効果があります。またリンゴに含まれるペクチンは整腸効果があります。
蜂蜜、メープルシロップを使っているという方は多いと思いますが、オリゴ糖はビフィズス菌などの効果を高めてくれる効果があり血糖値を急激に上げない特徴もあるんです。カロリーオフのオリゴ糖もおすすめです。
きな粉は大豆から出来ているので大豆イソフラボンという女性ホルモンに似た働きをする成分が含まれています。生理痛や生理不順、更年期障害の緩和になります。また高齢者の方は骨粗しょう症の予防にもなりますし黒蜜もプラスすると、懐かしい味わいになると思います。
ドライフルーツなら食物繊維も豊富で冬の風邪予防に免疫力アップを生む最高のコンビになります。一晩漬けておくならおすすめはマンゴーです。まるで生のマンゴーのように濃厚な味わいになります。
お豆は食物繊維が豊富ですから免疫力アップに役立ちます。若い方には新鮮な食材かもしれませんが高齢者のお宅では買いおいている方もいるのではないでしょうか。
スーパーフードとしてすっかり定着したチアシードですが美肌作りに欠かせないオメガ3系脂肪酸が豊富です。朝食べるなら前日の夜にチアシードをそのままヨーグルトに入れておいても違った食感が楽しめます。
ビタミンEを含み抗酸化作用のあるナッツや繊維が栄養素ですが、ここで利用したいのは歯ごたえ。早食いの防止のトッピングです。
忙しい朝などはつい飲み込むように食べてしまうことが習慣になっていませんか?
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?