種類やはたらきが丸わかり! 家族のための乳酸菌大辞典

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B240乳酸菌

B240乳酸菌は、免疫細胞として知られるIgA抗体の分泌を促進させる乳酸菌。タイ北部に伝わる発酵茶「ミヤン」から分離させた乳酸菌で、大塚製薬が開発・商品化に成功させました。マウスやヒトを対象とした数々の試験でも、その働きは確認済み。風邪をひきやすい方、アレルギーでお悩みの方、日々の体調管理が大切なアスリートなどにお勧めの乳酸菌です。

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B240が持つ主な5つの働き

B240乳酸菌の主な働きは「風邪の予防」「アレルギー対策」「インフルエンザ対策」「食中毒対策」「肺炎抑制」の5つ。それぞれの働きについて、以下、大塚製薬が公表している情報を引用しながらご紹介します。

風邪の予防

大塚製薬公式サイト「B240研究所」の中から、風邪の予防に関する2つの臨床試験データをご紹介します。

65歳以上の男女300人の高齢者を3群に分け、「乳酸菌B240が20億個入った錠剤」、「乳酸菌B240が200億個入った錠剤」、「乳酸菌B240が入っていない錠剤」を、それぞれ毎朝食時に20週間摂ってもらいました。

試験期間中は他の乳酸菌の効果を排除するため、ヨーグルトや漬け物など、乳酸菌入りの食品を食べないようにしてもらいました。さらに、「鼻水」「咳」「頭痛」など、12項目の風邪症状の有無や強さなどについて、体調日誌をつけてもらいました。その日誌の内容を感染症の専門医が分析して風邪の罹患を判定した結果、風邪と判定された人の割合を示したのがグラフ5-1です。

グラフ4の試験と同様、唾液中のIgA 分泌量が上昇する摂取後4週目以降、罹患割合に差が出始めています。

風邪罹患割合の低減効果

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240で風邪のリスクが低下」

20週間に風邪と判定された人数を累積した結果がグラフ5-2です。試験を終えた時点では、乳酸菌なし群の罹患割合が47.3%だったのに対し、20億個の群は34.8%、200億個の群では29% でした。200億個群は、乳酸菌なしの群に比べ、約20ポイントも風邪をひいた人が少ないことから、乳酸菌B240を多く摂るほど、風邪予防の効果が高まることも分かりました。

乳酸菌B240の摂取量が多いほど風邪のリスクが低下する

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240で風邪のリスクが低下」

上記のとおり、臨床試験を通じて、B240乳酸菌が持つ高い風邪予防効果が確認されました。

アレルギー対策

同じく大塚製薬公式サイト「B240研究所」の中から、b240が持つアレルギー対策に関するマウス試験の内容をご紹介します。

マウスに乳酸菌B240を摂取させたところ、アレルギー性鼻炎の症状が軽減することが確認されました。多くの日本人を悩ませているアレルギー性鼻炎に対して、乳酸菌B240 による症状の軽減が期待できます。

アレルギー性鼻炎を軽減する

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240の効果-新型インフルエンザや食中毒予防にも期待」

このデータはマウスを対象とした試験結果なので、ヒトに対しても同様の効果がみこめるとは限りません。とはいえ、マウスもヒトも同じ哺乳類である以上、その可能性は十分に考えられます。

インフルエンザ対策

大塚製薬では、B240乳酸菌がインフルエンザ対策にも有効であると期待しています。

2009年に世界的に流行した新型インフルエンザ。原因ウイルスである「A(H1N1)pdm」の感染防御効果も確認。肺で抗ウイルス遺伝子や免疫物質IL-5が有意に上昇することが分かりました(注1)。(中略)また、例年12月から3月ごろにかけて流行する季節性インフルエンザウイルスに対しても、同様に感染防御効果が期待できます。マウスの気管支の肺胞で、免疫物質のIgAが有意に上昇することも確認されています。

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240の効果-新型インフルエンザや食中毒予防にも期待」

食中毒予防

マウスを対象とした試験において、b240乳酸菌が持つ食中毒予防効果も確認されました。

インフルエンザ対策

大塚製薬では、B240乳酸菌がインフルエンザ対策にも有効であると期待しています。

マウスに乳酸菌B240を与え、食中毒性のサルモネラ(S. Typhimurium)を接種したところ、有意に感染から守られ、各臓器へのサルモネラの移行も少ない傾向が見られました(グラフ6-1)。

サルモネラ感染から守る

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240の効果-新型インフルエンザや食中毒予防にも期待」

肺炎抑制

日本人の死因第3位とされる肺炎。B240乳酸菌には、肺炎の原因となる球菌の抑制作用があることも確認されています。

研究では、肺炎球菌感染の3週間前から乳酸菌B240を与えることによって生存期間が延長し、肺における肺炎球菌数も有意に抑えられました(注3)。これらの結果から、日常的に乳酸菌B240をとっておけば、風邪以外の感染症に対しても予防効果が期待できるかもしれません。

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240の効果-新型インフルエンザや食中毒予防にも期待」

各種作用の根拠はIgA抗体の分泌促進作用

健康維持に関してさまざまな働きを持つB240乳酸菌ですが、その働きの根拠となるのが、抗体であるIgAの分泌促進作用です。

IgAとは、体内に侵入してきた病原体を捉え、無力化するよう働く免疫物質。大塚製薬は、b240乳酸菌を摂取することで、このIgAの分泌量が増えることを突き止めました。当然ながら、IgAの分泌量が多ければ多いほど、体は風邪ウイルスやアレルギー物質から守られるようになります。

以下、B240乳酸菌が持つIgA分泌促進作用について、大塚製薬の公式サイトから引用してご紹介します。

右のグラフで示すように(グラフ4)、高齢者に、20億個の「乳酸菌B240入りの飲料」、または「ただの水」を12週間毎日飲み続けてもらい、唾液中のIgAの分泌量を測定しました。乳酸菌B240群は、摂取後4週目以降にIgAの分泌量が有意に高まり、その状態が続きました。

乳酸菌B240摂取により、高齢者の睡眠中IgAが増加した

引用元:大塚製薬公式サイト「B240研究所-乳酸菌B240で風邪のリスクが低下」

同様の試験結果は、マウスを対象とした試験において、より顕著に確認されています。

これらのデータが示すとおり、b240乳酸菌にはIgA抗体の分泌を促進させる高い働きがあることが分かります。

アスリートたちのパフォーマンスを上げたb240乳酸菌の実例

b240乳酸菌を配合した商品は、現在、アスリートのコンディション調整を目的としたものが主流です。実際にアスリートの練習現場においてb240乳酸菌を導入し、高い成果をあげた団体があります。それは、箱根駅伝の活躍で知られる神奈川大学陸上競技部駅伝チームです。

2017年1月、第93回箱根駅伝で総合5位となり、12年ぶりのシード権を獲得した同チーム。大躍進の背景には、部員一人ひとりの努力のほかにも、コンディション調整を目的としたB240乳酸菌の摂取がありました。

摂取組と非摂取組とで明確に現れたコンディションの差

神奈川大学駅伝チームの部員たちは、合宿所で寝食をともにしています。みんな同じ環境で過ごしていることもあり、同チームの大後監督は、部員たちの感染症の拡大には特に注意を払っているそう。一人の部員が感染症を発症すれば、またたく間に他の部員にも感染し、レース本番はもちろん、練習すらままならなくなるからです。

チームを勝利に導くには、日ごろの体調管理が大事であることを痛感していた大後監督。そこで、2017年の箱根駅伝に向け、部員たちにb240乳酸菌入りの食品を摂取させることにしました。

しかし、監督はあえて部員全員ではなく、部員45名のうち箱根駅伝にエントリーしている20名に対してのみb240乳酸菌入り食品を与え、残りの25名に対しては、b240乳酸菌入り食品を与えませんでした。

その結果、b240乳酸菌入り食品を摂取したグループから「良く眠れるようになった」「食欲が上がってきた」「便通が改善した」などの声が続出。一方で、b240入り乳酸菌を摂取していない25名の間では、胃腸炎が猛威を振いました。

体調万全の中で臨んだ第93回箱根駅伝。上述のとおり、神奈川大学陸上競技部駅伝チームは、12年ぶりの快挙となるシード権を総合5位という上位で獲得しました。

B240乳酸菌の開発ストーリー

IgAの分泌を高める乳酸菌を探す

B240乳酸菌の開発を行っているのは、滋賀にある大塚製薬株式会社・大津栄養製品研究所。「腸管免疫の研究」をテーマに、2000年に設立された研究所です。

設立当初、腸管免疫の中でも、特にどのテーマに絞って研究を進めていくべきか、1年もの間、研究員の間で議論が交わされました。最終的には、「粘膜免疫の主役であるIgAの分泌量を高める」というテーマで決着。研究所にあった150種類の乳酸菌ライブラリの中から、もっともIgA分泌量を高める乳酸菌を、マウス実験を通じて探しました。

B240乳酸菌が最も高いIgA分泌促進作用を示す

研究開始から1年後、マウスに対してもっとも高いIgAの分泌促進作用を示す乳酸菌が、b240乳酸菌であると判明。b240乳酸菌は、東京農業大学の岡田早苗教授らが、タイ北部に伝わる発酵茶「ミヤン」から分離させた乳酸菌でした。

ヒトを対象とした臨床試験から商品化へ

マウス実験によってIgA分泌促進作用が確認されたb240乳酸菌。ヒトにも同様の作用をもたらすかどうかを確認するため、厳密な管理のもと各種の臨床試験を実施しました。

2005年には、健常女性におけるIgA分泌促進作用を確認。2008年には健常高齢者、および低身体活動高齢者における同作用を確認。2011年には健常高齢者における風邪予防効果を確認しました。

2016年にはアスリートに対し、摂取後の体調変化についてアンケート調査を実施。その結果を加味し、大塚製薬は商品化可能と判断。2017年、アスリート向けのb240乳酸菌入り食品「ボディメンテ」を発売しました。

B240開発までの歴史年表

大塚製薬が発信している情報を参照し、改めてB240乳酸菌の開発の歴史をたどってみましょう。

乳酸菌B240の歴史

1986年

東京農業大学・岡田早苗名誉教授 ミヤンよりB240を単離

2000年

大津栄養製品研究所を設立

2002年

IgA産生誘導活性を指標とした乳酸菌のスクリーニングを開始

2003年

高いIgA産生誘導活性保有乳酸菌としてB240を選択(2006年論文化)

2005年

健常成人女性の唾液IgA分泌促進作用を確認(2006年論文化)

季節性インフルエンザウイルス感染防御作用を確認※(2011年論文化)

変異原性試験、急性毒性試験、亜慢性毒性試験を実施※(2011年論文化)

2008年

健常高齢者の唾液IgA分泌促進作用を確認(2010年論文化)

サルモネラ感染防御作用を確認※(2010年論文化)

肺炎球菌感染防御作用を確認※(2011年論文化)

低身体活動高齢者の唾液IgA分泌促進作用を確認(2014年論文化)

2011年

パンデミックインフルエンザウイルス感染防御作用を確認※(2013年論文化)

健常高齢者の風邪罹患割合抑制作用を確認(2013年論文化)

IgA産生誘導メカニズムを解明※(2014年論文化)

2014年

新製品プロジェクトを発足

2016年

トップアスリートに対する実使用アンケートを実施2017年製品化

※非臨床試験

引用元:大塚製薬公式サイト「乳酸菌B240研究所-研究所紹介」

B240乳酸菌を配合している商品

2017年4月、大塚製薬はB240乳酸菌を配合した初のブランド「ボディメンテ」シリーズを発売しました。2019年2月現在、「ボディメンテ」シリーズには次の2種類の商品があります。

ボディメンテドリンク

B240乳酸菌を配合し、主にアスリートの体調維持を目指したドリンク。体液に近い電解質の働きで、体の水分量も長時間キープされます。飲みやすいグリーンシトラス風味。

  • 価格:996円
  • 内容量:500ml×6本
  • 原産国:日本
  • 販売元:大塚製薬

ボディメンテゼリー(ヨーグルト風味)

ゼリータイプのB240乳酸菌を配合商品。トレーニング後の効率良いリカバリーや、日々の練習に向けたコンディション調整など、主にアスリートを対象にした栄養食です。

  • 価格:1,944円
  • 内容量:100g×6袋
  • 原産国:日本
  • 販売元:大塚製薬

B240乳酸菌は自分に合っているのか?

ただし、どんなに素晴らしい効果が報告されている乳酸菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。いろいろ買ってみて試してみる、というのも楽しいかもしれませんが、自分に合う菌と出会うためには、それなりにお金と時間をかける必要があります。

そこで、自分に合った菌を探すのに役立つツールとして「乳酸菌相性チェッカー」を用意してみました。乳酸菌選びで迷っている方は、ぜひ活用してみてください!

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参照元

  1. 大塚製薬「乳酸菌B240研究所」:https://www.otsuka.co.jp/b240/

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管理人:蝶野ハナ

蝶野ハナ

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