モンゴル乳由来の乳酸菌である「06TCa19株」。胃がんや胃潰瘍の原因とも考えられているピロリ菌による胃の炎症を抑える作用を持つと考えられているこの乳酸菌について、南日本酪農協同株式会社で行われた研究データを元に、その特徴などをご紹介します。
06TCa19株は、モンゴルで飲まれている「モンゴル乳」から発見された乳酸菌です。
46人の健康な女性を対象に行った調査で、06TCa19発酵乳の摂取をすることにより排便の状況を改善したという結果が得られました。また、その便を調べてみたところ、乳酸菌の数が増加した被験者もいましたとのこと。そのため、06TCa19株は生きたまま腸に届き、腸内で作用することによって排便の状況を改善することが期待されています。
06TCa19株を用いた「ピロリ菌感染による、胃の炎症を予防する効果」に関する研究報告が行われていますのでご紹介します。
ピロリ菌の感染は、胃がんや胃潰瘍を引き起こすリスクが知られていますが、南日本酪農協同株式会社では、モンゴル乳酸菌である06TCa19株が持つ、抗ピロリ作用に関する研究を行いました。本研究では、06TCa19株がヒト胃由来培養細胞を用いたピロリ菌添加によるIL-8とRANTESの遺伝子発現およびタンパク量にどのような影響を与えるかを調査。この結果から、06TCa19株はピロリ菌の感染によって誘導される、胃内の炎症を予防する可能性があると考えられています。
ヒト胃上皮細胞株MKN-45においてピロリ菌添加によって上昇したケモカイン(IL-8、RANTES)を06TCa19株が抑制し、ヒト胃由来AGS細胞においても同様に06TCa19株がケモカインを低下させた。その際、ピロリ菌を添加したMKN-45細胞において06TCa19株がNF-κBとp38の活性化を抑制した。さらに、ピロリ菌由来の毒素タンパク質CagAは06TCa19株添加によって低下し、ピロリ菌数も少なくなっていた。さらに、共培養の上清に含まれる乳酸量が06TCa19株添加で著しく上昇していた。このようにして、06TCa19株から産生された乳酸がピロリ菌の接着を阻害し、MKN-45細胞内のCagA量が少なくなったと推測された。さらに、IL-8とRANTESの量も抑制され、転写因子であるNF-κBの核内移行(炎症によって増加する)も低減されていた。
引用元:デーリィ南日本酪農協同株式会社「ヒト細胞学会英文誌『Human Cell』におけるモンゴル乳酸菌研究成果掲載のお知らせ」
どんなに素晴らしい効果が報告されている菌であっても、それが誰にでも効くというわけではありません。菌と腸内環境には相性があり、自分の腸に合っていない菌を摂取しても、あまり意味がないのです。
もちろん、ここで紹介した乳酸菌06TCa19株についても同様で、この菌が合うかどうかは、実際に摂取してみて、自分の体調の変化を確認してみるしかないのが現状です。
世の中に存在する乳酸菌・ビフィズス菌には数えきれないほどの種類があり、商品化されているものだけでも膨大な数があります。そのため、自分と相性の良い菌を見付けるためには、それなりの覚悟をもって、根気よく挑まなくてはなりません。
しかし、自分にピッタリの菌を見付けるのは、それだけの価値があること。一生をかけて、理想の乳酸菌を追求し続けるくらいの気持ちで挑むことが大切です。摂取せずにどんな菌が合いそうか、なんて考えても意味はないので、まずはどんな菌があるのかを知り、興味のあるものから順にかたっぱしから試していきましょう。
ただし、一部には例外といえる成分もあります。たとえば「乳酸菌生成エキス」という成分は、最初から自分が持っている乳酸菌を育てるためのものです。
そもそも乳酸菌を摂取するのは、自分の腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えることが目的。つまりこの成分を摂れば、自分にピッタリの乳酸菌を摂取するのと同様の効果が得られるというわけです。菌との相性を気にする必要がないため、手っ取り早く健康になりたいという方は、こういった成分を探した方が良いかもしれません。
管理人:蝶野ハナ
乳酸菌と人との関係、菌株ひとつひとつの個性、数多くの研究データ……乳酸菌って、知れば知るほどスゴいんです。私たちにとって最も身近な細菌について、もっともっと深く知りたくないですか?